高校野球

佐々木麟太郎を擁する花巻東が夏の甲子園に出場する可能性を探る。 岩手県大会のライバル校はどこ?

西尾典文

2023.07.06

佐々木を擁する花巻東だが、甲子園は1度しか出場していない。写真:THE DIGEST写真部

 今年の高校球界で最大の注目選手といえばやはり佐々木麟太郎(花巻東)になるだろう。高校通算本塁打数はもちろん参考記録だが、ヘッドスピードの速さ、打球の飛距離などを見ても長距離砲としての資質の高さは疑いようがない。

 そして気になるのは、佐々木の所属する花巻東が岩手大会を勝ち抜いて夏の甲子園に出場できるかという点だ。佐々木は入学直後からファーストのレギュラーとして活躍しているが、過去2回の夏の岩手大会を振り返ってみると一昨年は決勝で盛岡大付、昨年は準決勝で盛岡中央に敗れていずれも甲子園出場を逃している。

 1年秋は東北大会で優勝を果たし、翌年春の選抜高校野球には出場しているものの、昨年秋は東北大会の初戦で鶴岡東に敗れて2年連続の選抜出場はならなかった。入学してから4度あった甲子園出場のチャンスのうち、ものにすることができたのは1度だけというのは少し寂しい数字である。

 ただ今年の夏に関しては、花巻東が甲子園に出場する確率は5割以上と言えるのではないだろうか。新チーム発足以降の昨年秋、今年春の県大会でも花巻東は優勝しており、県内のチームには敗れていない。この結果だけを見ても、岩手大会の本命は花巻東だということがよく分かるだろう。
 
 しかし、だからといって県内で圧倒的な強さを誇るというわけでは決してない。昨年秋の準決勝では盛岡大付と7対6、今年春の準々決勝では盛岡誠桜に4対3と厳しいゲームとなっている。また今年よりも攻撃力の高かった昨年のチームも秋、春と県大会を制しながら夏は前述した通り準決勝で敗れており、夏の一発勝負を勝ち抜くことはやはり簡単ではない。

 今年のチームでまず気になるのは佐々木以外の野手にそこまで破壊力がないという点だ。昨年のチームはプロも注目する強打の捕手である田代旭(現・筑波大)が佐々木の後ろに控えており、コンスタントに長打、ホームランが期待できる打者が2人いたことが大きな強みだった。それでも昨年の夏は盛岡中央の斎藤響介(現・オリックス)に田代が完璧に封じられ、佐々木もヒットこそ放ったものの本来の打撃ができずに2点に抑え込まれて敗れている。

 今年のチームで佐々木の後ろを打つ千葉柚樹(3年)も旧チームからのレギュラーで力のある打者ではあるが、田代と比べると長打力が劣るのは間違いない。そうなると一発勝負の夏では佐々木とまともに勝負しないケースが増えることも予想され、思うように得点できない試合も出てくるはずだ。
 
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県内のライバルチームはどこ?