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MLB

デッドライン当日は平凡な中継ぎ右腕を獲得したのみ。エンジェルスの夏のトレード補強は果たして「十分」だったのか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.08.02

左上から時計回りにジオリト、ムスタカス、グリチック、ロペス。積極補強を繰り広げたエンジェルスだが、効果のほどは......?(C)Getty Images

左上から時計回りにジオリト、ムスタカス、グリチック、ロペス。積極補強を繰り広げたエンジェルスだが、効果のほどは......?(C)Getty Images

 今年も、トレード・デッドラインは喧噪に包まれていた。大物移籍は例年ほど多くなかったとはいえ、アメリカ東海岸午後6時の期限ギリギリの駆け込みトレードが何件も成立。「買い手」と「売り手」、そして両者の間でバランスを取りながら戦力向上を目指したチーム、それぞれがそれぞれの立場で忙しく動いていた。

 そんな中、エンジェルスはデッドライン間際にメッツから中継ぎ右腕のドミニク・レオンを獲得。これで、6月下旬から計7人もの選手を獲得したことになる。

マイク・ムスタカス(内野手)
エデュアルド・エスコバー(内野手)
ルーカス・ジオリト(先発投手)
レイナルド・ロペス(救援投手)
CJ・クロン(一塁手)
ランダル・グリチック(外野手)
ドミニク・レオン(救援投手)

 大谷翔平を放出せず、あくまでプレーオフを目指して戦い抜くと決めてからの1週間あまりで、ジオリトを筆頭に5人の選手を獲得。この積極性自体は評価できる。すでに総年俸は戦力均衡税(ぜいたく税)の課税ラインを超えており、これはエンジェルスとしては実に19年ぶり。この事実だけでも、球団がプレーオフ進出へ向けて本腰を入れていることが伺える。
 ただ、問題は一連の補強が果たして「十分」だったかどうかだ。デッドライン当日時点でワイルドカード3位から3ゲーム離されているエンジェルスにとって、プレーオフ進出の可能性はそもそも決して高いとは言えない。不利なオッズを覆すためには、トレード市場でさらに積極的に動く必要があったのではないだろうか。

 というのは、同じくプレーオフを目指すライバルたちも同様に戦力向上を図っているからだ。試みに、同じア・リーグ西地区のライバル球団の状況を見てみよう。デッドライン当日時点でエンジェルスとほぼ同じ勝敗だったマリナーズは売り手に回ったが、レンジャーズとアストロズは積極的に動いている。

▼レンジャーズ
アロルディス・チャップマン(救援投手)
マックス・シャーザー(先発投手)
ジョーダン・モンゴメリー(先発投手)
クリス・ストラットン(救援投手)
オースティン・ヘッジズ(捕手)

▼アストロズ
ジャスティン・バーランダー(先発投手)
ケンドール・グレイブマン(救援投手)

 まず、今年のデッドラインで最も積極的に動いたのがレンジャーズだった。6月30日に“人類最速男”チャップマンをいち早く獲得したのを皮切りに、先発ローテーションにはサイ・ヤング賞3度の大投手シャーザーと技巧派左腕モンゴメリーを補強。正捕手のジョナ・ハイムが故障で離脱するや否や、抜群のリーダーシップとフレーミング技術を誇るヘッジズを獲得して穴を埋めた。
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