MLB史上でも屈指の“金満球団”は脆くも崩壊した。トレード・デッドラインの8月1日(現地)、メッツは昨オフ入団したばかりのジャスティン・バーランダーをアストロズへ放出。同じく先発投手のマックス・シャーザー、救援右腕のデビッド・ロバートソン、外野手のマーク・カナ、トミー・ファムもトレードに出しており、今シーズンは事実上白旗を掲げる形となった。
改めて振り返ってみると、ここ数年のメッツの大型補強ぶりは、まさに常軌を逸していた。
大富豪のスティーブ・コーエン・オーナーの号令下、“爆買い”を重ね、21年オフにはサイ・ヤング賞3度のシャーザーを3年1億3000万ドルで迎え入れると、昨オフには同じくサイ・ヤング賞3度のバーランダーも獲得。MLB史上最高年俸(4333.3万ドル)選手が2人同じチームに所属することになった。
他にも、ここ数年でフランシスコ・リンドーア、スターリング・マーテイ、千賀滉大など有力選手をトレードやFAで補強。1986年以来のワールドシリーズ優勝へ向け、着々と戦力を整えた。今季開幕時の総年俸は史上最高額の3億3000万ドル。日本円にして468億円(1ドル=142円換算)というまさに天文学的数字に上っていた。
だが、大型延長契約を交わしたばかりの守護神エドウィン・ディアズがWBCで負傷し、シーズン絶望となったのがケチのつけ始めだった。バーランダーも故障で出遅れるなどメンバーがそろわず、チームは開幕から低空飛行。6月になっても、7月になってもなかなか上昇気流に乗れず、伏兵マーリンズの躍進もあって地区4位からな這い上がれないまま、気づけばデッドライン間際。チームとしては現実的な判断、すなわち今季をあきらめて来季巻き返しへの布石を打つしかなくなかってしまった。
シャーザー放出後、ビリー・エプラーGMは今回の動きを「戦略的な決定」と説明。「我々はこの機会をファームシステムの強化という、もう一つの目標に沿うものと判断した」とした上で、「強調しておきたいのは、これは再建ではないということだ。ファイヤーセールでもない」とも語った。
だが、どう言葉を取り繕っても、今季の結果は失望以外の何物でもない。開幕時点で、シャーザーとバーランダーを途中放出するなどと誰が予想できただろう。
皮肉にも、「カネでペナントは買えない」ことをこれ以上ない形で証明してしまったメッツ。コーエン・オーナーは今後、どのように軌道修正を図るのだろうか。
構成●SLUGGER編集部
改めて振り返ってみると、ここ数年のメッツの大型補強ぶりは、まさに常軌を逸していた。
大富豪のスティーブ・コーエン・オーナーの号令下、“爆買い”を重ね、21年オフにはサイ・ヤング賞3度のシャーザーを3年1億3000万ドルで迎え入れると、昨オフには同じくサイ・ヤング賞3度のバーランダーも獲得。MLB史上最高年俸(4333.3万ドル)選手が2人同じチームに所属することになった。
他にも、ここ数年でフランシスコ・リンドーア、スターリング・マーテイ、千賀滉大など有力選手をトレードやFAで補強。1986年以来のワールドシリーズ優勝へ向け、着々と戦力を整えた。今季開幕時の総年俸は史上最高額の3億3000万ドル。日本円にして468億円(1ドル=142円換算)というまさに天文学的数字に上っていた。
だが、大型延長契約を交わしたばかりの守護神エドウィン・ディアズがWBCで負傷し、シーズン絶望となったのがケチのつけ始めだった。バーランダーも故障で出遅れるなどメンバーがそろわず、チームは開幕から低空飛行。6月になっても、7月になってもなかなか上昇気流に乗れず、伏兵マーリンズの躍進もあって地区4位からな這い上がれないまま、気づけばデッドライン間際。チームとしては現実的な判断、すなわち今季をあきらめて来季巻き返しへの布石を打つしかなくなかってしまった。
シャーザー放出後、ビリー・エプラーGMは今回の動きを「戦略的な決定」と説明。「我々はこの機会をファームシステムの強化という、もう一つの目標に沿うものと判断した」とした上で、「強調しておきたいのは、これは再建ではないということだ。ファイヤーセールでもない」とも語った。
だが、どう言葉を取り繕っても、今季の結果は失望以外の何物でもない。開幕時点で、シャーザーとバーランダーを途中放出するなどと誰が予想できただろう。
皮肉にも、「カネでペナントは買えない」ことをこれ以上ない形で証明してしまったメッツ。コーエン・オーナーは今後、どのように軌道修正を図るのだろうか。
構成●SLUGGER編集部