バッティングも、言葉も、謙虚だった。
高校通算本塁打140発、花巻東の佐々木麟太郎が1回戦の宇部鴻城戦に登場。
3打数3安打1打点1得点。豪快な一打こそなかったものの、花巻東が挙げた全4得点のうち、2点に絡む活躍。にもかかわらず、試合後の壇上ではこう話したのである。
「勝つことに意識があったので、それに対して貢献できたことは良かったです」
宇部鴻城投手陣からは、執拗なまでのインコース攻めを受けた。それでも無理に引っ張りに行かず、逆らわないバッティングで勝利に貢献しようとする姿は素晴らしかった。「自分のスタイルはセンター方向への打球」と、あくまでも謙虚な姿勢にこの日の3安打の価値が見える。
超高校級のスラッガーに大きな一発を期待した人からすれば、この結果は物足りなかったかもしれない。
だが、この日の宇部鴻城バッテリーの佐々木に対する攻めは完璧だった。
「佐々木選手が苦手(だから)というよりは、内角攻めはピッチャーそれぞれの特徴を生かしながら、キャッチャーと相談しながら決めていた」
そう語ったのは、2番手で登板した2年生の松成乃馳だ。140キロ近くのストレートで強気に押した右腕は、「出番があると知って自分の持ち味を出し切ろうと思った」と、2回と3分の1を無失点に抑える好投を見せた。
勝負を振り返る。
佐々木の1打席目は、1回裏2死走者なしの場面から。
先発した宇部鴻城のエース浅田正樹は、右サイドからキレのあるボールを投げるが、その初球がインハイのストレートだった。挨拶がわりとでもいうような強気な攻めで1ストライク。2球目のスライダーが外れ、3、4球目は立て続けにインコースにストレートを投げ込んだが、いずれもボール判定。カウント3ー1とやや投手不利になった後の5球目を佐々木が見逃さず、レフト前へ弾き返された。
2打席目は4回裏。イニング先頭の熊谷陸が三塁への内野安打を放ったところに失策が重なり、無死二塁の場面で佐々木に回った。
浅田は初球をボール球になるスライダーを投じ、まずは様子を見るような配球。2球目もスライダーを選択すると、これを佐々木がうまく拾ってレフトへの先制タイムリーとなった。さらに花巻東の後続がたたみかけ、この回一気に3点を先制する。
5回の第3打席は申告敬遠。そして第4打席は7回裏2死一塁の場面だ。
投手は松成に代わっていたが、あくまでインコース攻めが続いた。
初球139キロのストレートをファウル。2球目のスライダーが低めに外れると、3球目はインコースへ再びストレート。これがまたファウルになった。4球目は低め、5球目もコースを外れ、6球目はインハイへのストレート。佐々木は三遊間への痛烈なゴロを放ち、これが内野安打となった。
最も危惧していた長打はなかったわけだから、宇部鴻城からすれば、攻めたいように攻められていたのではないか。
しかし、宇部鴻城投手陣はかぶりを振る。
高校通算本塁打140発、花巻東の佐々木麟太郎が1回戦の宇部鴻城戦に登場。
3打数3安打1打点1得点。豪快な一打こそなかったものの、花巻東が挙げた全4得点のうち、2点に絡む活躍。にもかかわらず、試合後の壇上ではこう話したのである。
「勝つことに意識があったので、それに対して貢献できたことは良かったです」
宇部鴻城投手陣からは、執拗なまでのインコース攻めを受けた。それでも無理に引っ張りに行かず、逆らわないバッティングで勝利に貢献しようとする姿は素晴らしかった。「自分のスタイルはセンター方向への打球」と、あくまでも謙虚な姿勢にこの日の3安打の価値が見える。
超高校級のスラッガーに大きな一発を期待した人からすれば、この結果は物足りなかったかもしれない。
だが、この日の宇部鴻城バッテリーの佐々木に対する攻めは完璧だった。
「佐々木選手が苦手(だから)というよりは、内角攻めはピッチャーそれぞれの特徴を生かしながら、キャッチャーと相談しながら決めていた」
そう語ったのは、2番手で登板した2年生の松成乃馳だ。140キロ近くのストレートで強気に押した右腕は、「出番があると知って自分の持ち味を出し切ろうと思った」と、2回と3分の1を無失点に抑える好投を見せた。
勝負を振り返る。
佐々木の1打席目は、1回裏2死走者なしの場面から。
先発した宇部鴻城のエース浅田正樹は、右サイドからキレのあるボールを投げるが、その初球がインハイのストレートだった。挨拶がわりとでもいうような強気な攻めで1ストライク。2球目のスライダーが外れ、3、4球目は立て続けにインコースにストレートを投げ込んだが、いずれもボール判定。カウント3ー1とやや投手不利になった後の5球目を佐々木が見逃さず、レフト前へ弾き返された。
2打席目は4回裏。イニング先頭の熊谷陸が三塁への内野安打を放ったところに失策が重なり、無死二塁の場面で佐々木に回った。
浅田は初球をボール球になるスライダーを投じ、まずは様子を見るような配球。2球目もスライダーを選択すると、これを佐々木がうまく拾ってレフトへの先制タイムリーとなった。さらに花巻東の後続がたたみかけ、この回一気に3点を先制する。
5回の第3打席は申告敬遠。そして第4打席は7回裏2死一塁の場面だ。
投手は松成に代わっていたが、あくまでインコース攻めが続いた。
初球139キロのストレートをファウル。2球目のスライダーが低めに外れると、3球目はインコースへ再びストレート。これがまたファウルになった。4球目は低め、5球目もコースを外れ、6球目はインハイへのストレート。佐々木は三遊間への痛烈なゴロを放ち、これが内野安打となった。
最も危惧していた長打はなかったわけだから、宇部鴻城からすれば、攻めたいように攻められていたのではないか。
しかし、宇部鴻城投手陣はかぶりを振る。
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