今大会最注目の選手といえば、やはり佐々木麟太郎(花巻東)になるだろう。岩手大会では背中を痛めた影響でスタメンを外れる試合もあり、ホームランは0本に終わったが、怪物スラッガーの甲子園出場を喜んだファンも多いはずだ。
大会第3日の第1試合、対宇部鴻城戦に3番・ファーストで出場した佐々木は、先制のタイムリーを含む3打数3安打1打点と見事な結果を残し、チームの勝利に大きく貢献した。期待されたホームランが出なかったこと、打球方向がいずれもセンターから左で3安打すべてがシングルヒットだったことに対して、否定的な意見がないわけではないが、総合的に見ればやはりその打者としての資質の高さは疑いようがない。
ノーヒットに終わった2年春のセンバツと比べ、まずはっきりと変わったのがその構えだ。以前に比べても背筋を伸ばして真っすぐ立ち、重心も高くなったが、無駄な力が抜けてリラックスしているように見える。本人が子どもの頃から意識しているというメジャーリーグの選手に例えると、以前はプリンス・フィルダー(2007年に50本塁打でタイトル獲得。通算319本塁打)に近かったが、今はイチローも憧れたスーパースター、ケン・グリフィーJr.の構えが重なる。まだ、どうしてもバットが下から出る傾向があるため高めの速いボールには遅れ気味だが、それでも振り出す時の無駄な動きは確実に少なくなり、それが3安打という結果にも現れたと言えるだろう。
強く引っ張るような打球が出なかったことについては、対戦相手の宇部鴻城の攻め方が大きく影響している。第1打席からストライクゾーンぎりぎりを5球続ける徹底した内角攻めを見せたのだ。佐々木のようなスラッガータイプの選手はどうしても内角が窮屈になることが多く、そこに速いボールを集めることに活路を見出していたことは想像に難くない。実際、2年春の選抜ではその攻めによってノーヒットに抑えられている。
しかしこの日の佐々木は第1打席と第4打席で内角の厳しいコースのストレートにしっかりと対応してヒットにして見せたのだ。この点は最大の成長と言えるだろう。またどちらのヒットも少し差し込まれていたものの、それでも打球の速さは右打者が引っ張ったようなスピードがあり、改めてその"振る力"の凄さがうかがえた。もし少しでも甘く真ん中に入っていればホームランか長打になっていた可能性は高い。
また第2打席の先制のタイムリーは低めのスライダーをとらえたものだったが、これも簡単なボールではなく、しっかりと呼び込んで弾き返すことができていた。第1打席でストレート、第2打席で変化球をヒットにされたことで宇部鴻城バッテリーとしてはかなり手詰まり感があったはずだ。
初戦からいきなり3安打を放ったことで、今後の試合ではさらにマークが厳しくなることが予想されるが、後ろを打つ北條慎治(3年)もタイムリーを含むマルチ安打と、相手も簡単には勝負を避けられなくなったことも確か。2回戦以降、待望の甲子園での初ホームランも、十分に期待できるだろう。
構成●SLUGGER編集部
大会第3日の第1試合、対宇部鴻城戦に3番・ファーストで出場した佐々木は、先制のタイムリーを含む3打数3安打1打点と見事な結果を残し、チームの勝利に大きく貢献した。期待されたホームランが出なかったこと、打球方向がいずれもセンターから左で3安打すべてがシングルヒットだったことに対して、否定的な意見がないわけではないが、総合的に見ればやはりその打者としての資質の高さは疑いようがない。
ノーヒットに終わった2年春のセンバツと比べ、まずはっきりと変わったのがその構えだ。以前に比べても背筋を伸ばして真っすぐ立ち、重心も高くなったが、無駄な力が抜けてリラックスしているように見える。本人が子どもの頃から意識しているというメジャーリーグの選手に例えると、以前はプリンス・フィルダー(2007年に50本塁打でタイトル獲得。通算319本塁打)に近かったが、今はイチローも憧れたスーパースター、ケン・グリフィーJr.の構えが重なる。まだ、どうしてもバットが下から出る傾向があるため高めの速いボールには遅れ気味だが、それでも振り出す時の無駄な動きは確実に少なくなり、それが3安打という結果にも現れたと言えるだろう。
強く引っ張るような打球が出なかったことについては、対戦相手の宇部鴻城の攻め方が大きく影響している。第1打席からストライクゾーンぎりぎりを5球続ける徹底した内角攻めを見せたのだ。佐々木のようなスラッガータイプの選手はどうしても内角が窮屈になることが多く、そこに速いボールを集めることに活路を見出していたことは想像に難くない。実際、2年春の選抜ではその攻めによってノーヒットに抑えられている。
しかしこの日の佐々木は第1打席と第4打席で内角の厳しいコースのストレートにしっかりと対応してヒットにして見せたのだ。この点は最大の成長と言えるだろう。またどちらのヒットも少し差し込まれていたものの、それでも打球の速さは右打者が引っ張ったようなスピードがあり、改めてその"振る力"の凄さがうかがえた。もし少しでも甘く真ん中に入っていればホームランか長打になっていた可能性は高い。
また第2打席の先制のタイムリーは低めのスライダーをとらえたものだったが、これも簡単なボールではなく、しっかりと呼び込んで弾き返すことができていた。第1打席でストレート、第2打席で変化球をヒットにされたことで宇部鴻城バッテリーとしてはかなり手詰まり感があったはずだ。
初戦からいきなり3安打を放ったことで、今後の試合ではさらにマークが厳しくなることが予想されるが、後ろを打つ北條慎治(3年)もタイムリーを含むマルチ安打と、相手も簡単には勝負を避けられなくなったことも確か。2回戦以降、待望の甲子園での初ホームランも、十分に期待できるだろう。
構成●SLUGGER編集部
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