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高校野球

徳島商の好投手・森から豪快な一発を含む4安打!下半身の強さが際立った智弁学園・松本大輝【甲子園8日目のプロ注目選手】

SLUGGER編集部

2023.08.14

初戦は強打が鳴りを潜めた松本だが、2回戦では徳島商の好投手・森から4安打と大爆発した。写真:THE DIGEST写真部

初戦は強打が鳴りを潜めた松本だが、2回戦では徳島商の好投手・森から4安打と大爆発した。写真:THE DIGEST写真部

 前日までに出場全49チームが登場し、大会第8日からはどのチームも2試合目となる。初戦で力を発揮できなかったチームが試合を重ねるにつれて調子を上げていくというケースはよくあるが、それを予感させたのが第2試合に登場した智弁学園の松本大輝だ。

 旧チームから4番を任されている左の強打者で、最終学年の今年はトップバッターとして活躍。春の近畿大会では3試合で打率.533、1本塁打、さらにこの夏の奈良大会では5試合で打率.625、4本塁打と圧倒的な成績を残してチームを優勝に導いている。しかし、初の甲子園となった初戦の英明戦では2つの四球を選んだものの4打数ノーヒット、2三振とその強打は鳴りを潜め、力みが目立つバッティングに終始した。

 この日の相手は大会ナンバーワン投手との声もある徳島商の森煌誠ということでその対決に注目が集まったが、結果は5打数4安打1本塁打と圧倒。初戦の悔しさを見事に晴らしてみせた。

 第1打席はストレートに少し差し込まれながら三遊間にしぶとく弾き返す内野安打となり、これで気持ちが楽になったのか、第2打席では初球のカーブをしっかりとらえてライト前ヒット。6回の第4打席では追い込まれたからの低めの変化球を見極めてフルカウントとし、最後はストレートを鋭く二遊間に弾き返してこの日2本目の内野安打とした。
 
 圧巻だったのが9回の第6打席だ。2ボールからの140キロのストレートを完璧にとらえ、バックスクリーンまで運んでみせたのである。カーブをとらえたヒットはライトへ引っ張ったものだったが、それ以外の3本はセンターを中心に強く弾き返しており、松本本来の打撃が戻ってきている印象を受けた。

 特に目立つのが下半身の強さだ。右足を踏み出すステップは慎重でボールを呼び込む意識を感じるが、それでいながら踏み込む力の強さがあり、体勢が崩れることがない。またヘッドが下がらずに振り出すことができており、スイングの軌道も理想的だ。パワーだけでなく確かな技術を感じる打者で、タイプとしてはチームの先輩である前川右京(現・阪神)を彷彿とさせるものがある。ライトの守備はあまり目立たないが、たくましい体格の割に2本の内野安打を記録しているように脚力も備えており、積極的な走塁も光る。

 1回戦で強打の愛工大名電をほぼ完璧に封じ込めた森からこれだけの結果を残したことは本人にとっても大きな自信となったはずだ。3回戦以降もそのバットでチームを勝利に導く活躍を見せてくれることを期待したい。

構成●SLUGGER編集部
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