プロ野球

【MVPレース展望】パは今年も山本由伸で決まり? セは近本、岩崎ら阪神勢に加えて巨人のスラッガーも候補に<SLUGGER>

藤原彬

2023.08.25

パ・リーグは山本(左)でほぼ決まりの雰囲気だが、セは岩崎(右)、近本の阪神勢に加え意外な伏兵も? 写真:THE DIGEST写真部

 プロ野球のペナントレースはいよいよ佳境を迎えようとしている。シーズン終了まであと1ヵ月余りとなり、賞レースの行方も気になるところ。そこで、セ・パ両リーグのMVP争いの状況をおさらいしておこう。

※成績は8月24日時点。データ提供:DELTA

■MVP(セ・リーグ)
本命:近本光司(阪神)
〇勝利貢献度WARはリーグ最高
×「表面上の成績」には物足りなさ

対抗:村上頌樹(阪神)
〇防御率部門トップを争う安定感
△投球にやや迫力を欠く

対抗:岩崎優(阪神)
〇高評価を受けやすい役割
×セーブ数はリーグ3位

大穴:岡本和真(巨人)
〇本塁打・打点・OPSでリーグトップ 
×優勝チーム以外からのMVPは少ない

 ペナントレースで抜け出している阪神からMVPが出るはず、と考えるのが普通だが、候補者はどれも決定打に欠ける。近本は走攻守にオールラウンドな活躍で、総合的な貢献度を定量化した指標WAR5.7はリーグベスト。出塁率は4割近く、4度目の盗塁王も有力だが、日本ではまだWARがMVP投票で考慮されている気配はない。打率.289、7本塁打、48打点と「表面上」の成績はやや平凡で、故障で一時戦列を離れた影響もあり、インパクトという点では少し弱いかもしれない。

 続いて候補となりそうな存在が、先発陣とブルペンで柱として機能している2人だ。鮮烈なブレイクを果たした村上は防御率1点台(1.99)でし烈なタイトル争いを繰り広げ、被打率.176とWHIP0.73はリーグベスト、与四球率1.04とK/BB8.23はいずれも2位と安定感が光る。4月12日の初先発で7回まで走者を許さない投球を続け、2試合をまたいだ"完全試合"投球も印象深い。

 一方、岩崎はリーグ最多タイの48試合に登板して防御率0.78。被打率.135は20投球回以上の投手で最も低く、投球内容では文句のつけようがない。MLBと比べ、日本のアウォード投票ではリリーフ投手が高く評価される傾向にあることも追い風になるかもしれない。

 ただ、村上は支配力の面でやや見劣りし、相手エース級との投げ合いも多くはない。岩崎はリーグ3位の25セーブを挙げているが、印象面で優位に立つにはタイトル獲得が必須だ。

 阪神以外の選手で可能性を残すとすれば、驚異的な打棒を振るっている岡本か。史上9人目の6年連続30ホームランを8月で早々に達成し、本塁打と打点、OPSでリーグトップ。優勝は無理でも、チームが2位に入るくらい追い上げればMVP受賞の目も出てくるだろう。
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個人成績では近藤が由伸をもリード