プロ野球

WBC球とNPB球の違いに苦しみシーズン序盤は不振。復調したオリックス宇田川優希の調子のバロメーターとは?【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.09.16

昨季は育成からの成り上がりぶりが話題になった宇田川。夏場以降は本来のピッチングを取り戻した。写真:ネギドラム

 昨年、中継ぎとしてリーグ2連覇と日本一に大きく貢献し、今春のWBCでも侍ジャパンに選ばれた宇田川優希。だが、今季はシーズン序盤に状態を落とし、4月下旬に戦線離脱。6月中旬の一軍再昇格後も、しばらくは昨季のような剛腕ぶりが影を潜めていた。それでも、8月6日以降は13試合連続無失点を継続(14日現在)するなど、本来の調子を取り戻している。

オリ・山本由伸の代理人は千賀滉大と同じジョエル・ウルフ氏? "移籍の噂"を連日のように米メディア報道

 シーズン序盤に苦労したのは、WBC球とNPB球の違いだという。「最初にWBCの内定をもらう前は、NPBのボールで練習してたんですけど、その時は普通にいい感覚で投げられていました。でも、WBCのボールで全然、球が行かなくなって。やっていくうちに慣れてきて、終わって帰ってきてNPBのボールを投げた時に、すごい違和感があって。それがずっと染みついちゃって、自分のボールがずっと投げられませんでした」

 悩む宇田川の刺激になったのは、同学年の山崎颯一郎だ。山崎颯もWBCに参加したが投球機会はなく、チームに戻った後は開幕からセットアッパーとして活躍した。「ファームに行って、疲れていた身体がだんだん元気になってきて『もう大丈夫だろう』と思っても全然球速が出なくて。悩んでいた時に(一軍で)颯一郎が昨年よりもいい球を投げていたので、すごい焦りもありました。ファームでも全然結果が出なくて、『今年は(一軍に)戻れないんじゃないか』とか思って。でも、颯一郎の投球を毎回見て、『去年みたいに一緒に勝ちパターンで投げたい』と思えました」。昨年の終盤、ともにブルペンを支えた盟友の存在がモヤモヤを吹っ切れさせてくれたようだ。

 二軍調整中、コーチから「去年は去年だから」と、昨季の映像を見ないよう勧められていたが、自身のフォームをチェックするため見ると、改めて発見があった。
「やっぱ昨年と比べて、フォームのリズムもずっと状態が悪いかなと。球速もそうですし、やっぱ自分でも自信がなくて、マウンドでも考えちゃってリズムが悪くなったりとか。去年はもう『打ってみろ』みたいな気持ちで球も伸びていたんで。何かリズムが狂って球速が出ないのかなって思って、リズムを良くするため動きとかをいろいろ考えながら投げてます」。今は悩んだ時期を脱し、良い意味で昨年とは違う自分自身を作り上げようとしている。

 宇田川にとって、好調のバロメーターはあくまでもまっすぐ。それも、高めのストレートだ。「まっすぐで勝負するつもりで投げてるんで、まだ低めに行くってことは、 球威に自信がなくてコースを狙ってるんだろうなって、そこは自信持って高めに投げられたら。あと、最近は高めを見逃されることが多くて、去年だったら多分、振ってくれていたんですけど。高めを振ってくれるようになったら、球が行ってる証拠だと思う。そこでしっかり自分のボールを投げられるようにやってます」。夏場以降、本来の球威が戻ってきたことで、本来の投球が徐々にできるようになってきたのは事実だ。

 ポストシーズンに向けて、回またぎも可能な宇田川の存在は大きい。「前半、最初の方しかいなくて、ファンの方の思った通りに結果も出せなくて、心配......心配っていうか『大丈夫かな?』とか、そういう風に思わせてしまった。なので、残り試合で挽回できるようにしたいです」。自信を取り戻した右腕はさらなる進化を誓う。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させたことも。

【動画】8月から絶好調の宇田川、切れ味鋭いフォークで三振を奪う!

ロッテ・佐々木朗希にヤンキースが興味!「次回の登板を視察する予定」と米紙報道「MLBに到達するのは何年も先の話だが...」

「もー好き!」「ガチおもろい無理笑」阪神・ミエセスが披露したまさかの『そんなの関係ねぇ!』に虎党爆笑!「ホンマに可愛いな」




 
NEXT
PAGE
【動画】8月から絶好調の宇田川、切れ味鋭いフォークで三振を奪う!