10月12日に高校生と大学生のプロ志望届提出が締め切られたが、最大の目玉と見られていた佐々木麟太郎（花巻東）がアメリカの大学進学を目指して提出を見送ったことで、完全に大学生投手が中心となった印象が強い。

【2023ドラフト候補ランキング最終版｜１～10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...１位は果たして＜SLUGGER＞

　中でも評価が最も高くなりそうなのが常広羽也斗（青山学院大）、細野晴希（東洋大）、武内夏暉（国学院大）、西舘勇陽（中央大）の東都大学野球所属の４人だ。全員がコンスタントに150キロを超えるスピードを誇り、ストレートだけでなく変化球の質も高い。

　この秋のピッチングを見る限り、完成度が高く、即戦力に最も近いのは武内と西舘のように見えるが、常広と細野はまだまだ選手としての底を見せておらず、将来性の高さを考慮して上に評価した。特に常広は身体つきを見てもまだまだ細く、より余力を残しているように見える。広島がイの一番に１位指名を公表したのもよく分かる好素材である。

　この４人以外で最初の入札がありそうなのが、投手では前田悠伍（大阪桐蔭）、野手では度会隆輝（ENEOS）、上田希由翔（明治大）だ。前田は高校生とは思えない完成度と投球術が魅力で、体ができればまだまだスケールアップする可能性がある。

　度会と上田は佐々木のような圧倒的なパワーこそないものの、長打力と確実性を備えたバッティングはアマチュア球界でもトップだ。本拠地が狭い球団に入れば、将来的には打率３割、25～30本塁打も十分に期待できるだろう。１位指名確実と言いきれない要素としては守備の問題があるものの、脚力と肩の強さはあるだけにしっかり鍛えればまだまだ上達する可能性も高い。打線の中心が欲しい球団はぜひとも狙いたい選手だ。

　抽選を外した場合の次候補、または単独指名を狙う選手としては投手では下村海翔（青山学院大）、東松快征（享栄高）、上田大河（大阪商業大）、古謝樹（桐蔭横浜大）、木村優人（霞ケ浦高）、西舘昂汰（専修大）、岩井俊介（名城大）、野手では真鍋慧（広陵高）、進藤勇也（上武大）、横山聖哉（上田西）、明瀬諒介（鹿児島城西）、広瀬隆太（慶応大）などの名前が挙がる。ここでも大学生投手の名前が多いが、最初に挙げた４人に比べると少しスケールや完成度が劣るだけに高校生や野手に切り替えるという判断をする球団もあるのではないだろうか。 　ここ数年の指名を振り返ってみても、山下舜平大（2020年オリックス1位）、渡部健人（2020年西武1位）、井上朋也（2020年ソフトバンク1位）、吉野創士（2021年楽天1位）、松川虎生（2021年ロッテ1位）、イヒネ・イツア（2022年ソフトバンク1位）など、意外な外れ１位や単独１位は少なくない。１位指名を公表する球団の数などによっても方針は変わってくるはずで、ここから当日までの駆け引きにも注目だ。

　抽選を外した場合の次候補、または単独指名を狙う選手としては投手では下村海翔（青山学院大）、東松快征（享栄高）、上田大河（大阪商業大）、古謝樹（桐蔭横浜大）、木村優人（霞ケ浦高）、西舘昂汰（専修大）、岩井俊介（名城大）、野手では真鍋慧（広陵高）、進藤勇也（上武大）、横山聖哉（上田西）、明瀬諒介（鹿児島城西）、広瀬隆太（慶応大）などの名前が挙がる。ここでも大学生投手の名前が多いが、最初に挙げた４人に比べると少しスケールや完成度が劣るだけに高校生や野手に切り替えるという判断をする球団もあるのではないだろうか。

　ここ数年の指名を振り返ってみても山下舜平大（2020年オリックス1位）、渡部健人（2020年西武1位）、井上朋也（2020年ソフトバンク1位）、吉野創士（2021年楽天1位）、松川虎生（2021年ロッテ1位）、イヒネ・イツア（2022年ソフトバンク1位）など、意外な外れ１位や単独１位は少なくない。１位指名を公表する球団の数などによっても方針は変わってくるはずで、ここから当日までの駆け引きにも注目だ。

　前回の７月に発表した時点では圏外だった選手も10人が浮上してきている。夏の地方大会で浮上した高校生や都市対抗で活躍を見せた社会人が目立つが、その中で唯一独立リーグでランクインしたのが椎葉剛（徳島インディゴソックス）だ。独立リーグのチャンピオンシップでは最速159キロをマークしており、ストレートの勢いに関しては間違いなく今年の候補の中でも屈指と言える。リリーフ専門でコントロールに少し課題が残るためどの程度の評価になるかは難しいところだが、中継ぎの即戦力が欲しい球団が早く指名することも十分にありそうだ。

　全体的にはやはり大学生投手が豊作だが、だからこそ逆に野手を優先する球団が出てくることも十分に考えられる。佐々木という高校生の目玉がいなくなっても好素材は非常に多く、トータルで考えてもやはり豊作の年と言えるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも多くの選手やデータを発信している。

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