プロ野球

【ドラフトでヤクルトが狙うべき選手】投手は即戦力の大学生、野手は将来性豊かな高校生の「バランス型」が理想<SLUGGER>

シュバルベ

2023.10.24

最速152キロを誇る専修大の右腕・西舘。高校時代には宮城大弥(オリックス)に投げ勝ったこともある。写真:西尾典文

 ここ5年間で6位→6位→1位→1位→5位とジェットコースターのように順位が大きく変動したヤクルト。今季はチーム防御率がリーグ最下位に沈み、先発投手がイニングを稼げないという弱点が浮き彫りとなった。5年連続で投手をドラフト1位指名しているものの、リリーフ転向や故障で一人も先発に定着できていないのは痛いところだ。また、打者有利の神宮球場としながら、チーム打率リーグ5位、得点数は3位。主軸打者が前年より大きく数字を落とす中、それをカバーできなかった層の薄さも解消したい。

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 投打に課題を抱える中で臨む今年のドラフトは、投手は即戦力寄り、野手は将来性重視という二方向バランスを取るべきだ。

 真っ先に押さえたいのはイニングを稼げる先発投手候補だ。筆頭は常広羽也斗(青山学院大学)。150キロ前後のストレートをアウトコースにきっちりと投げ込み、フォークやカットボールなど変化球もい高い精度を誇る。神宮球場を主戦場に登板を重ねている分、マウンドの違いに苦しむことも少ないだろう。競合は必至だが、もし獲得できれば圧倒的なリターンが望める。

 リスクを避けるなら、西舘昂汰(専修大)に手を挙げたい。長身から繰り出されるストレートには威力があり、フォークの落差も大きく奪三振能力は高い。イニングを重ねても球速は衰えないタフネスも魅力で、似た体格の大瀬良大地(広島)のように、いずれはエースになれる可能性を秘めている。球種が多く、投球モーションも使い分けるなど打者との駆け引きに優れた上田大河(大阪商業大)も実戦向きで、早い段階から一軍のマウンドに上がれそうだ。
 
 クローザーに定着した田口麗斗が昨年担っていた、火消しもロングもこなす「便利屋」的な役割の左投手も獲得したい。左打者にスライダーとチェンジアップでタイミングをずらせる石原勇輝(明治大)は、リリーフなら常時140キロ台後半まで出力を上げて狙って三振を奪える。今年の都市対抗で自己最速を更新する151km/hを計測しスライダーの精度も高い平元銀次郎(日本通運)も即戦力度で言えば候補に挙がってくる。

 村上宗隆の将来的なMLB挑戦、山田哲人のここ2年の状態を鑑みれば、上位で内野の強打者候補も指名しておきたい。高校生野手の育成が得意なチームであること、22歳以下の右打者が2人しかいないことを考えると、候補の一人には明瀬諒介(鹿児島城西高)が挙げられる。ボールをバットに乗せる技術に優れ、鋭いライナーを飛ばしていくスタイルは、神宮なら将来的に30本塁打も狙える。U-18で中軸を担った森田大翔(履正社高)は、パワーはもちろんバットコントロールにも優れ、履正社の系譜を受け継ぐイメージが湧く。タイミングの取り方が上手く、スウィングスピードの速い百﨑蒼生(東海大星翔)は、打力がつけば内野どのポジションでもレギュラーに食い込めるだろう。

【基本方針】
バランス型

【補強ポイント】
・1年目から一軍10先発以上を期待できる大学生投手
・左打者に強い即戦力の左腕リリーバー
・打力に優れた右の高校生内野手

【理想の指名】
1位:常廣羽也斗(青山学院大)
2位:明瀬諒介(鹿児島城西高)
3位:石原勇輝(明治大)

文●シュバルベ

【著者プロフィール】
オリックス・バファローズと東京ヤクルトスワローズのファン。卒業してから足を運んだ東京六大学野球で東大の勝ちを見届け、アマチュア野球"沼"にも片足突っ込んでしまった野球好き。Twitter IDは「@love_uni31」。

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