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プロ野球

「全員が戦力」の長所を第2戦で存分に発揮したオリックスと、「固定メンバー」の短所が出て敗れた阪神。対照的なチーム作りが日本シリーズを面白くする<SLUGGER>

氏原英明

2023.10.30

中嶋監督(右)率いるオリックスは固定メンバーはほぼないに等しい。一方、岡田監督(左)の阪神はレギュラーが打順含めてほぼ固定されている。その対象性が最初の2試合で発揮された。写真:野口航志

中嶋監督(右)率いるオリックスは固定メンバーはほぼないに等しい。一方、岡田監督(左)の阪神はレギュラーが打順含めてほぼ固定されている。その対象性が最初の2試合で発揮された。写真:野口航志

 昨日の短所は今日の長所。今日の短所は昨日の長所。

 29日に行われた日本シリーズの第2戦は前日とは逆の展開となり、オリックスが8対0で阪神を下して星をタイに戻した。

「1勝1敗でええと思っていたよ。甲子園に帰ってからやね」

 そう言ったのは阪神の指揮官、岡田彰布だった。

「1勝1敗で京セラを終えたかったんで、勝てたことが次に繋がる思います」

 この日のスタメンマスクをかぶって完封を演出したオリックス森友哉は言葉に力を込めた。

 オリックスの長所。それはメンバー全員が戦力であるということだ。

 前日とはスタメンを大きく変えた。同じだったのは5番・DHの頓宮裕真のみで、他の全選手の役割が変わっていたのだ。

 試合は前日に続いて緊迫した投手戦の様相で始まったが、3回裏に潮目が変わった。オリックスの先頭は9番に入っていた廣岡大志。今季途中からオリックスにトレードで加入した選手だ。
 
「悔しい気持ちはありますけど、試合の中でそれを考えてやっているわけではない。貢献できたらと思って試合に入りました」

 廣岡がチェンジアップをレフト前に運んで口火を切ると、2番の西野真弘(前日はベンチ外だった)が、右中間を破るタイムリー三塁打を放って先制点を挙げたのである

「負けているので最初の得点は欲しいですし、点を取ったことでどんどん動いていくことができるので大きかったです」

 中嶋聡監督がそう話したように、1点を先行したことで試合は一気にオリックスのペースに傾いた。

 4回は2死から6番の宗佑磨が四球で出塁すると、続く7番の紅林弘太郎がライト線にポトリと落とすラッキーなヒットでチャンスを拡大。8番の野口智哉がセンター前へはじき返してさらに1点を追加。9番の廣岡、この日は1番に入っていた中川圭太にも連続タイムリーが出て計3得点。4対0とリードしたのだった。

 さらに投げては、先発の宮城大弥がテンポのいい投球を披露した。

 キレのあるストレートをコーナーに投げ込み、高低に幅広く使い、スライダー、フォークをうまく散らした。昨日は3安打と好調だった1番・近本光司を無安打に抑えるなど、前日の阪神打線の勢いを完全に止めた。

 確かに阪神打線は、前日ほど振っては来なかった。それが功を奏したかはともかく、宮城は丁寧に投げ込んでいくことで相手打線を波に乗せなかった。

「阪神打線は1、2番がキーマン。2人をしっかり抑えて中軸にランナーがいる状態で回さないことを心がけました。1、2番の2人を両方出すということがなくて良かったかなと思います。ストレートでもスライダーでもストライクを取れる。的を絞らせないのが宮城の持ち味を出してくれたと思います」

 前日とは異なり、キャッチャーの役割をこなした森友哉はそう試合を総括した。
 
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