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プロ野球

【ブレイクスルーの舞台裏】チームトップの8勝を挙げた種市篤暉。「形へのこだわり」と「100球制限の解除」が飛躍のキッカケに

岩国誠

2019.12.22

フォーム改造の着手した種市は、その1年目で見事に結果を残して見せた。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

フォーム改造の着手した種市は、その1年目で見事に結果を残して見せた。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

 今年のロッテは、若い投手陣たちが大いに躍動したシーズンだった。

 その中でも、ひと際輝きを放ったのが、今季チーム最多の8勝を挙げた種市篤暉だ。昨年までプロ未勝利だった高卒3年目の右腕は、なぜ今季、大きな飛躍を遂げたのだろうか。
 
「このフォームでは1年間投げられない。自分はやっていけない」

 大きなきっかけとなったのは、この発想だった。入団2年目の昨年8月に1軍デビューを果たした種市は、8試合に登板し、0勝4敗という戦績に。その後のオフに球団からオーストラリアのウィンターリーグに派遣され、その中で実戦を積み重ねていくうちに、この考えに至ったという。

 二十歳の青年は、身体が開くのが早く、負担も大きかったこれまでの投球フォームを変える決断をした。そして、ソフトバンクの千賀滉大や東浜巨らとともに今年1月のトレーニング合宿へ。多くのアスリートが師事するトレーナーの鴻江寿治氏から、身体の使い方など様々なアドバイスを受け、「パッと見ると、ほとんど変わっていない」が「力をロスなく投げられている」新しい投球フォームを手に入れた。
 
 トレーニングキャンプ時に千賀から大絶賛されたストレートを土産に、ファームの拠点である浦和に戻ってからは「とにかく形」と、ブルペンやキャッチボールで常に身体の使い方を意識しながら、ひたすら投げ込んだ。オープン戦期間中には、今季から一軍投手コーチに就任した吉井理人コーチや川越英隆コーチとともに、投球のフォームの動画をスマートフォンで撮影し、確認しながら、客観的視点からのアドバイスで修正ポイントを探るなど、シーズンインまで徹底的に「形」を身体に覚え込ませた。

 元々あるものを壊して、新たなものへ変化させることは、誰にとっても勇気が必要だ。しかしその一歩が、今季の種市にとって、大きな飛躍につながる最初のターニングポイントだったと言えるのではないだろうか。

 努力が実を結び、自身初の開幕一軍入りを果たした種市は、リリーフ登板8試合で14回を投げ、13奪三振2失点。防御率1.93の好結果を残すと、4月29日の楽天戦で今季初先発。打者2巡目に捕まるも、粘りを見せて5回2失点。待望のプロ初勝利は「平成最後の勝利投手」というおまけつきで、ウイニングボールは野球殿堂博物館に飾られた。
 
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