11月１日に甲子園で行われた日本シリーズ第４戦。オリックスは阪神に9回サヨナラ負けを喫したが、宇田川優希と小木田敦也が第２戦からオリックスとしては異例の3連投。いずれも無失点に抑えた。

　中でも宇田川は前日に回またぎをしているだけに、まさかの登板に。宇田川について中嶋聡監督は「しんどくない程度でなんとか頑張らせたい」と話していたが、この日は前日に引き続きセットアッパーの山崎颯一郎が怪我明けということも考慮して、ベンチから外れており、宇田川や小木田が登板することになった。打席の巡り合わせ次第ではこの日も回またぎをする可能性があったが、これは前にランナーが出たため、代打が送られたことで回避されている。

　宇田川は第２戦で２番手で登板し、２奪三振の快投を見せると、第３戦では本来なら８回に登板するはずだったにもかかわらず、７回から登板した山岡泰輔がまさかの３失点だったため、緊急の前倒し登板。２死一塁で打者は４番の大山悠輔。２球目の151キロのストレートを捉えられたが、サード宗佑磨のファインプレーで切り抜けた。８回も回またぎをして無失点に抑えたが、結果的に７回の投球がチームを勝利に引き寄せたと言ってもいいだろう。
  　スクランブル登板にも、「ピンチの場面でも、いつ行くか分かんないんで。イレギュラーなことは去年も色々あったので、準備はしやすいっていうか、心の準備も、体の準備も、ちゃんと去年の経験生かしてできてるので、そこは投球にも出てるのかなと思います」と泰然としたものだった宇田川。阪神ファンの声援も凄まじかったが「すごい盛り上がってるなと思ったんですけども、逆にどんどんアドレナリン出てくるので、 楽しいっていう気持ちになりました」という言葉すら聞かれた。

　第２戦の後には、阪神に対して「今年交流戦で１回やってるんですけど、そこでやられてしまってるので、そのリベンジっていうのを兼ねての日本シリーズとして投げたい」と話していた宇田川。不調だった前半戦とは違った昨年の日本シリーズで見せたような力強さが戻って来ているだけに、阪神も交流戦とは違うイメージを持ったのではないだろうか。第５戦はさすがにベンチから外れる見込みだが、宇田川の存在は日本一に向けて欠かせないピースのひとつ。すでにシリーズは第６戦までもつれることは確実で、このまま力強い球で押しまくってもらいたい。

取材・文⚫︎THE DIGEST編集部