侍ジャパン

決勝サヨナラ打の門脇、一発を放った万波&森下、“陰のMVP”根本...アジアCSを制した若き侍ジャパンから2026年のWBCで代表入りするのは?<SLUGGER>

氏原英明

2023.11.22

決勝で韓国をサヨナラで下し、大会2連覇を果たした侍ジャパン。写真:THE DIGEST写真部

 カーネクストアジアプロ野球チャンピオンシップ2023は、侍ジャパンの大会2連覇で幕を閉じた。

合宿初日から想定していたタイブレークでの古賀の送りバント。アジアCS優勝をもたらした井端監督の入念な準備<SLUGGER>

 ほぼ24歳以下の選手たちで構成された今大会だが、やはり期待されるのは今回のメンバーたちの今後のフル代表入りだ。2連覇を目指す2026年のWBCを考えると、新生侍ジャパンの選手たちが、今後どう成長していくかも気になるところだろう。

 前回大会から今年のWBCの流れを踏まえつつ、今大会の代表選手の中から次回への展望を考えてみたい。

 まず、2017年のアジアチャンピオンシップに出場し、23年のWBCにも選出されたの選手は5人いる。今永昇太(DeNA)、源田壮亮(西武)、近藤健介(現ソフトバンク)、甲斐拓也(ソフトバンク)、山川穂高(現FA)だ。

 山川を除く4人は21年の東京五輪にも選ばれていた。また、23年のWBCには選ばれなかったが、17年のアジアCSメンバーには山崎康晃(DeNA)や中村奨吾(ロッテ)、外崎修汰(西武)、西川龍馬(現FA)などがいる。

 もちろん、球界を去ってしまった選手もいるのだが、大方がチームの主力になっており、今回代表入りした選手の将来への期待は高い。

 WBCフィーバーの余波もあってか、観客動員も好調。空席が目立った前回とは大きな違いで、井端弘和監督も「(決勝戦は)WBCよりお客さんが入っていた。まず、そのことは選手に伝えました」と話していた。
 今大会で、特に活躍が目覚ましかったのは二遊間コンビだ。

 打率5割をマークした小園海斗(広島)と、韓国との決勝戦でサヨナラ安打を放った門脇誠(巨人)は力を存分に発揮した。

 実は、二遊間は侍ジャパンにとって懸案のポジションでもある。3月のWBCでは源田壮亮、山田哲人(ヤクルト)中野拓夢(阪神)が守ったが、源田が大会中に指を骨折した時、替わりになる選手の名前がなかなか上がってこなかった。

 もともと、大会を前に坂本勇人(巨人)と今宮健太(ソフトバンク)が辞退を表明。苦しい台所事情があったのだが、源田、山田はすでに30、31歳という年齢もあり、次回は世代交代と考えるのが普通だ。

 井端監督に直接、尋ねてみるとそのビジョンをこう語った。

「WBCでは源田選手に中野選手が二遊間で入ってきましたし、牧選手もセカンドができます。ただ、やっぱり源田選手も(次回の)WBCで35歳、オリンピックが36歳というところになってくると、次も考えなきゃいけないのかなと思ってます。その中で門脇選手、小園選手、今回呼んだんですけど故障で出れなかった紅林(弘太郎/オリックス)選手にはいずれ出てきてほしいなと思います。逆にもっと若い選手、他の選手でも『これは』っていうのがレギュラーシーズンで活躍してくれて、どんどん二遊間を高いレベルにしてくれることを望んでいます」

 外野陣はどうか。それぞれ本塁打を放った万波中正(日本ハム)、森下翔太(阪神)はチームでも主力を張るようになり、今後のさらなる成長が期待される。

 おそらく、次回のWBCには鈴木誠也(カブス)が帰ってくるはずだ。近藤、ラーズ・ヌートバー(カーディナルス)、吉田正尚(レッドソックス)もいる。高い壁ではあるが、万波と森下の活躍はその高い壁を乗り越えることも可能と思わせるものだった。
 
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"陰のMVP"根本に寄せる井端監督の期待