東海大菅生高の日當直喜が、2023年のドラフト会議で楽天から３位指名を受けて笑みを浮かべた。チームメイトや家族、学校関係者とともに指名を待つ姿は緊張感が漂っていたが、名前が呼ばれると、思わず叫んでチームメイトと抱擁。歓喜の瞬間を分かち合った。

　その後会見場に現れ、日當を「自分の憧れは田中将大選手。偉大な投手を近い存在で学ばせていただけるというのは、すごい勉強になると思うので、活かせるものを全て発揮できるように練習していきたい」と意気込みを語った日當。父親の実家は岩手県にあり、「2013年に田中さんが投げて優勝した時はテレビで見ていた。自分も田中投手のように、もう一度東北を日本一にしたい」と“郷土愛”も強い。まさに楽天から指名されたのは必然だったようだ。

　担当の部坂俊之スカウトは、「大型右腕投手。変化球を器用に投げ、将来的には中継ぎやクローザーを任せたいタイプ」と評していたが、東海大菅生高野球部の若林弘泰監督は「どちらかと言えば先発タイプなんですけどね。ウチでは後ろで打たれたので」と語る。「でも連投は全然問題ないし、身体も強いので、そこは問題ないと思う。151キロの真っ直ぐと落ちる球がありますから、クローザーでも面白いタイプだと思います。これから球はもっと速くなりますよ」と、高校に入ってから20キロ以上アップしたという球速のさらなる伸び代にも太鼓判を押していた。
  「やっぱり馬力の方があると思うので。あとはコントロールを磨いて、球種を増やして、信頼して使ってもらえるような投手になることがまず第一だと思います」と自らの長所を語った日當。「まだ期間はあるので、自分が足りないところをもう一回考えて、一からまたスタートできれば」と、入寮までの期間は自分自身を見つめ合うことにも当てていきたいという。

　目標は憧れの田中と同じく「海を渡る」こと。今年行われたWBCにはかなり刺激を受けたようで、ただ次回大会への出場を目指すだけではなく「先輩方を超えなきゃいけない」と、トップ選手として出場することを描いている。ドラフト当日はテレビ番組で小耳症のハンディキャップと戦ってきたことを明かしていたが、「どんなにハンデがあっても、諦めなければ夢は叶うっていうことを、今日は一つですけど証明できたというか、運命の日だったので。これからは、自分と同じ障がいを持ってる方々だったり、たくさんハンディがある中で生きてる方々がいるので、 その方々の憧れの存在というか、勇気だったり、感動を与えられるような投手になれたらなという気持ちです」と話す姿には、頼もしさを感じた。

　１年目から「先輩がたを超す」という、大きな目標を掲げた選手はなかなかいないだけに、夢と希望、そして自分自身を追い込める自信を持ち合わせた大型新人に期待していきたい。

取材・文⚫︎どら増田