入団会見を見て、「推測」は「確信」に変わった。
【大谷ドジャース入団会見一問一答】「とにかく勝ちたいという意志の強さが心に残った」――本人が明かすドジャース決断の舞台裏
「大谷はエンジェルスを“反面教師”にしてチームを選んだんだな」――少なくとも、僕にはそう思えた。
10年7億ドルという破格の条件でドジャース入団に合意との一報が全世界を揺るがせた後、契約の詳細が徐々に明らかになっていった。そしてそのたびに、球界は驚きに包まれた。
まずは、7億ドルの実に97%に相当する6億8000万ドルを契約終了後の後払いにするという条項。詳細の説明は避けるが、そうすることでドジャースは他の分野の補強に資金を回せるようになる。ぜいたく税上のカウントでは年俸200万ドルではなく約4600万ドルとなるものの、それでも契約総額を単純に10年で割った額より2400万ドルも安い。
しかも大谷は、ジャイアンツやブルージェイズなど、他のチームに対しても同じ条件を申し出ていたという。そこからは、自分の大型契約が他の補強の足枷になるような事態を避けたいという強い意志が感じられる。
会見で、大谷はこんな風に言っていた。
「自分が今、受け取れる金額を我慢して(チームの)ペイロールに柔軟性を持たせられるのであれば、 僕は全然後払いでいいですというのが始まりですかね」 ペイロール(総年俸)に柔軟性が欠けていたために、手詰まりになっていたチームがまさにエンジェルスだった。
マイク・トラウト、アンソニー・レンドーンと超大型契約を結ぶ一方で、総年俸がぜいたく税ラインを超えることをオーナーが嫌ったため、チーム最大のウィークポイントである投手陣の補強がなかなか進まない――ここ数年、大谷はそんなもどかしい状況の渦中にいた。契約額の大半を後払いにするという、ある意味で“掟破り”とも言える裏技はその苦い経験に由来する、というのは決して考えすぎではないだろう。
さらに、オーナーのマーク・ウォルター、アンドリュー・フリードマン編成総責任者が退団した場合は契約を途中で破棄できる条項を盛り込んでいたことも明らかになった。
ドジャースの“頭脳”にして、球界で最も安定した強さを誇るチームの一つに育て上げた最大の功労者がフリードマン編成総責任者である。
球界屈指の資金力を誇るオーナーグループの全面的なバックアップを受けつつ、そこに全面的に依存することなく、マイナーでの育成や他球団で埋もれた人材の発掘に注力。特に前者に関しては、毎年ドラフトで上位指名権を得られない状況であるにもかかわらず、若い才能を継続的にメジャーに供給し続けている。
この育成力こそがドジャースの強さの最大の理由であると理解しているからこそ、大谷はそのシステムを作り上げた人物の去就と自らのドジャースでのキャリアを結びつけたに違いない。
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「大谷はエンジェルスを“反面教師”にしてチームを選んだんだな」――少なくとも、僕にはそう思えた。
10年7億ドルという破格の条件でドジャース入団に合意との一報が全世界を揺るがせた後、契約の詳細が徐々に明らかになっていった。そしてそのたびに、球界は驚きに包まれた。
まずは、7億ドルの実に97%に相当する6億8000万ドルを契約終了後の後払いにするという条項。詳細の説明は避けるが、そうすることでドジャースは他の分野の補強に資金を回せるようになる。ぜいたく税上のカウントでは年俸200万ドルではなく約4600万ドルとなるものの、それでも契約総額を単純に10年で割った額より2400万ドルも安い。
しかも大谷は、ジャイアンツやブルージェイズなど、他のチームに対しても同じ条件を申し出ていたという。そこからは、自分の大型契約が他の補強の足枷になるような事態を避けたいという強い意志が感じられる。
会見で、大谷はこんな風に言っていた。
「自分が今、受け取れる金額を我慢して(チームの)ペイロールに柔軟性を持たせられるのであれば、 僕は全然後払いでいいですというのが始まりですかね」 ペイロール(総年俸)に柔軟性が欠けていたために、手詰まりになっていたチームがまさにエンジェルスだった。
マイク・トラウト、アンソニー・レンドーンと超大型契約を結ぶ一方で、総年俸がぜいたく税ラインを超えることをオーナーが嫌ったため、チーム最大のウィークポイントである投手陣の補強がなかなか進まない――ここ数年、大谷はそんなもどかしい状況の渦中にいた。契約額の大半を後払いにするという、ある意味で“掟破り”とも言える裏技はその苦い経験に由来する、というのは決して考えすぎではないだろう。
さらに、オーナーのマーク・ウォルター、アンドリュー・フリードマン編成総責任者が退団した場合は契約を途中で破棄できる条項を盛り込んでいたことも明らかになった。
ドジャースの“頭脳”にして、球界で最も安定した強さを誇るチームの一つに育て上げた最大の功労者がフリードマン編成総責任者である。
球界屈指の資金力を誇るオーナーグループの全面的なバックアップを受けつつ、そこに全面的に依存することなく、マイナーでの育成や他球団で埋もれた人材の発掘に注力。特に前者に関しては、毎年ドラフトで上位指名権を得られない状況であるにもかかわらず、若い才能を継続的にメジャーに供給し続けている。
この育成力こそがドジャースの強さの最大の理由であると理解しているからこそ、大谷はそのシステムを作り上げた人物の去就と自らのドジャースでのキャリアを結びつけたに違いない。
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