プロ野球

<2019ベストヒット!>なぜ京田や金子が選外?ゴールデン・グラブ賞の無記名投票は見直すべきでは?

2019.12.31

中日の京田(写真)や西武の金子が選外になったのは疑問だ。写真:田中研二

 2019年の名珍場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返るこの企画。今回取り上げるのは、ファンの間でも議論を呼んだゴールデングラブ賞の選考についてだ。無記名ゆえなのか、疑問符が付くような投票も目立っていたが……。
記事初掲載:2019年11月6日

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 10月30日、プロ野球機構(NPB)は今年度の三井ゴールデン・グラブ賞の受賞者を発表した。毎年、同賞は喧々囂々の議論を呼んでおり、今回もやや首をかしげたくなるような投票が散見された。特に争点となっている3つのポイントを整理してみよう。

①【セ・リーグ遊撃】京田ではなく坂本が受賞

 今シーズン、最終盤までCS争いを演じた中日。原動力となったのが圧倒的な守備力だった。5373守備機会でわずか45失策、守備率.992は2004年に同じ中日(.991)が樹立したセ・リーグ記録を更新した。ゴールデン・グラブでは多くの受賞者を輩出するかと思いきや、高橋周平(三塁)と大島洋平(外野)の2人のみという結果。特に驚きだったのが、守備の要の遊撃で何度もチームを救った京田陽太が選出されなかったことだろう。受賞した坂本勇人(巨人)の167票に対して、京田は110票という結果だった。

 しかし、守備に限れば、今季の京田は坂本を明らかに上回っていた。データ専門会社『DELTA』によると、守備指標UZR(各ポジションの平均と比較し、どれだけ多くの失点を防いだかを示す)では、京田が+17.5、坂本は-3.0と大きな差があった。
 
 そして、いわゆる旧来型の指標でも、
●守備率 
京田.985 > 坂本.979
●刺殺
京田202 > 坂本199
●補殺
京田384 > 坂本354
●失策
京田9 > 坂本12
と、京田は坂本より優秀な数字を残している。

 もちろん、坂本も名手であることは間違いない。これまでUZRでも素晴らしい成績を残してきた。しかし今シーズンは、30代を越えて腰の状態が悪化したのか、やや動きが落ちていたのも事実だ。それでも坂本がゴールデン・グラブを受賞したのは、過去の実積や、主将として巨人の優勝に大きく貢献したことを評価されてのように感じざるを得ない。
 
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金子は「打てていれば」受賞できた?