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プロ野球

柳田悠岐と千賀滉大――なぜ、日本を代表する二人の“メジャー”への想いは分かれたのか

喜瀬雅則

2019.12.27

長期の7年契約を結んだ柳田(左)と単年契約に留めた千賀(右)。写真:THE DIGEST

長期の7年契約を結んだ柳田(左)と単年契約に留めた千賀(右)。写真:THE DIGEST

 7年という長期契約に判をついた柳田と、単年契約に留めてメジャー行きの強い意志を表明し続ける千賀。ソフトバンクの投打の主軸である二人は、いずれも「メジャー志向」の強い選手だったが、今オフに下した決断は対照的だった。なぜ、道が分かれたのか。二人の歩みを振り返ると、その答えが見えてくる。

   ◆   ◆   ◆

 柳田悠岐と千賀滉大。

 ソフトバンクの「打」と「投」を代表する“2枚看板”は、2011年度のドラフト同期生である。柳田は、広島経済大からドラフト2位指名で、千賀は愛知・蒲郡高から育成ドラフト4位での入団。2人とも、当時は決して、全国で名の知れた存在ではなかった。

 広島生まれ、広島育ちの柳田は、地元の名門・広島商出身だが、甲子園出場経験はない。東京の強豪大学のセレクションに落ち、広島経済大に進んだという挫折も味わっている。

 しかし、大学入学前から本格的に取り組んだウエートトレによる肉体改造で、飛距離が格段に伸びたという。広島六大学リーグで首位打者4回。圧倒的な実力を見せつけていたパワーヒッターは、幼少期には広島市民球場で「スクワット応援」を繰り返していたという、筋金入りのカープファンでもある。
 
 リーグや大学の関係者が「すごいバッターがいます」と広島に売り込んだという。ただ、その2年前、広島はドラフト1位で亜大・岩本貴裕を獲得していた。岩本は、柳田と同じ左のパワーヒッター。球団からは「今、右打者を探しているんで」とやんわりながら“獲らない”のニュアンスを伝えてきたという。

 今を思えば、何とももったいない話でもある。
 
 2010年(平成22年)10月27日のドラフト会議前日、東京都内で行われたソフトバンクのスカウト会議。1位には、競合覚悟で早大・斎藤佑樹を指名することは決まっていた。この日の最大のテーマは、2位指名だったという。

 野手で行く方針は固まっていた。その最終候補は4人。その中に柳田と、その年に西武3位指名を受けることになる八戸大・秋山翔吾が入っていた。
 
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