プロ野球

“春の椿事”かそれとも...2891日ぶりの首位に立ったドラゴンズ。ファンも驚く意外な快進撃の「3つの要因」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2024.04.10

4番として期待通りの活躍を見せている中田。9日のDeNA戦では全3得点を一人で叩き出した。写真:産経新聞社

 昨季まで2年連続最下位、過去11年間でBクラス10回と長期低迷が続いているドラゴンズ。一体、何がこれまでと違うのだろうか。快進撃の要因を3つ挙げてみよう。

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▼層の厚みが増した打線

 何と言っても光るのは新加入の4番・中田翔の活躍だ。ヤクルトとの開幕シリーズで挨拶代わりの2本塁打を放つと、6日の広島戦では先制の犠飛を記録するなど、打線の中軸としての重責をしっかり果たしている。

「打点にこだわる男」の真骨頂を見せたのが、9日のDeNA戦だ。初回と3回、いずれも2ストライクと追い込まれた後にライト前へ技ありのタイムリー。その日の全3得点を4番のバットで叩き出した。

 打線全体も、昨季より活気づいている。ここまで、1試合平均得点2.50はリーグ5位でも、すでに5本塁打。昨季は開幕10試合でわずか1本、4月終了時点でも4本(23試合)だったことを思えば雲泥の差だ。

 選手層が厚くなっていることも見逃せない。中田に加え、上林誠知、中島宏之、山本泰寛と4人の新加入選手が一軍メンバーに加わり、攻撃面でのオプションは明らかに増えた。7日の広島戦では疲労を考慮して中田をベンチ外としながらも勝利。これも、選手層が厚みを増した結果と言っていいはずだ。
 しかも二軍には故障中の岡林勇希をはじめ石川昂弥、ビシエド、龍空ら昨季の主力組が控えている。少なくとも、昨季のような極端な貧打に苦しむことはないだろう。

▼"勝負強い"守備陣

 開幕戦のヤクルト戦こそ、守備の乱れから逆転負けを喫してしまったが、それ以外はむしろディフェンス陣の"勝負強さ"が際立っている。

 三塁の高橋周平は難しい打球を何度となく処理して立浪和義監督に「守備力は12球団で間違いなくトップクラス」と言わしめ、二塁の田中幹也はアマチュア時代から定評のあるすばしっこい動きで幅広いエリアをカバー。一塁の中田も、ショートバウンドの送球をうまくすいくい上げてアウト獲得につなげている。

 極めつけは7日の広島戦だ。1対0で迎えた8回裏、1死一塁の場面で松山竜平が放ったレフト線への当たりで一気に本塁生還を狙った一走・羽月隆太郎を、クッションを処理した左翼の細川成也→三塁・高橋→捕手・加藤匠の見事な中継プレーで阻止。捕ってから投げるまでの速さら送球位置、タッチのタイミングまで、寸分の隙もない、「これぞプロ野球!」と唸りたくなるよう見事なプレーだった。

 開幕2試合目以降は8試合続けて野手の失策はなし。平均と比べてどれだけ多く失点を阻止したかを示すUZRでは特に優れているわけではない(12球団中7位の-0.2)ものの、堅実さと勝負どころでの好守が光る。
 
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好対照の強みを持つ先発陣と救援陣