プロ野球

ようやく覚醒の時を迎えた「池山2世」。2020年は廣岡大志の開幕ダッシュが見られるか

山本祐香

2020.01.05

シーズン序盤の大スランプから一転、8月以降は強打を発揮した廣岡。今季こそブレイクの期待は大きい。写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

 2020年こそ、廣岡大志がブレイクの時を迎える。

 今年、5年目のシーズンを迎える廣岡は、プロ入りした時から大いなる期待をかけられてきた。2015年、智弁学園高校からドラフト2位でヤクルトに入団。プロ1年目の16年9月29日DeNA戦、廣岡はプロ初打席で三浦大輔から3ラン本塁打を放つという華々しいデビューを飾ったからだ。この年5位に沈んだヤクルトにとって、シーズン終盤に現れた高卒ルーキーは大きな希望となった。

 当時から身体能力の高さも際立っていた。

 ダイナミック。廣岡の守備を一言で表すとすればこの言葉がぴったりだろう。183cmとショートとしては大柄ながら、その身体を器用に使って俊敏に動く。加えて、「強さ」もある。捕球態勢が崩れても、身体の強さでスローイングまで持っていくことができるのだ。この点に関しては、チームでもナンバーワンと言っていいだろう。
 
 昨年はショートで58試合に出場して10失策。まだ課題が多いのも事実だが、ダイビングキャッチからスローイングまでの流れはまさにダイナミック。これを見るだけでも廣岡の魅力は十分伝わるはずだ。

 ダイナミックなのは守備だけではない。

 次から次へと力強い打球を飛ばすバッティング練習は、一見の価値ありだ。プロ初本塁打もそうだったが、廣岡はライナー性の速い打球を飛ばすことが多い。ボールを捉えるインパクトの瞬間の力強さはバレンティンにも引けを取らず、自分のタイミングで打てた時は速さに加えて飛距離も出る。

 ただ、以前はいざ試合になると相手バッテリーの術中にはまってしまう場面も多かった。3年目の18年はポジション争いの激しいショートで開幕スタメンの座を射止めたが、開幕から20打席連続無安打。6試合目に5打数5安打2打点と爆発したものの、その後も目立った活躍ができず、45試合の出場にとどまった。

 オープン戦で結果を出して好調2年連続の開幕スタメンを手にした19年は、開幕41打席連続無安打と前年よりも長い不調に苦しんだ。7月終了時点での打率は.151という深刻なスランプだ。