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プロ野球

【ブレイクスルーの舞台裏】“清宮・安田世代”の出世頭。村上宗隆が本塁打を量産できたワケ

山本祐香

2019.12.23

選球眼の良さ、頭の良さ、センスの良さ、ハートの強さと、村上は19歳にして必要なものはすでに兼ね備えている。写真:田中研治

選球眼の良さ、頭の良さ、センスの良さ、ハートの強さと、村上は19歳にして必要なものはすでに兼ね備えている。写真:田中研治

 今季のセ・リーグ新人王に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手(19歳)が、今季の推定年俸800万円から大幅アップの4500万円で契約を更改した。

 ルーキーイヤーの昨季は、9月16日の広島カープ戦に6番・三塁手で先発出場、プロ初打席で本塁打を放った。鮮烈なデビューを果たした高卒ドラ1は、2年目の今年、143試合全てに出場。36本塁打、96打点とどちらもリーグ3位の成績を残し、高卒としては2007年・田中将大(楽天)以来の最優秀新人賞を受賞した。

 普段の村上は、のんびり屋でマイペース。土橋勝征コーチに「ねえねえ」と話しかけ「俺はお前の友達じゃねえよ」と返されたというエピソードもあるほどだ。本塁打のイメージが強いこともあり、丸い輪郭の顔からは筒香嘉智のようなガッシリとした体型を想像するが、実際全身を見てみると腰の位置が高く足の長さが際立っている。
 
 そんな「現代っ子」である村上のバッティングには、全く迷いが見られない。データを確認するなど準備をしっかりして打席に入っていることや選球眼の良さもあるだろうが、常に迷いなく自信を持ってバットを振れるところには、周りの状況に影響されないハートの強さを感じる。村上が本塁打を量産できる一番の秘密は、実はここにあるのかもしれない。

 技術的なことで言えば、バッティングのポイントが体に近く、インコースにも上手く対応できるところが村上の特徴のひとつである。

 特にそれを感じたのが、5月3日の中日戦、8回無死一塁の場面だ。福敬登が内角高めに厳しく投じた直球を村上はそれほど強振することなく、体をコンパクトに回転させて右中間の一番深いところに運んだ。体に近い球でも窮屈なバッティングにはならず、スムーズにバットを出す様には非凡なセンスを感じたものだ。

 5月28日の広島戦でも、4回無死一塁、カウント1-1の場面で、キャッチャーが内角に構えた。ファウルでカウントを稼ぐ、又は併殺打を打たせようとしていたと予想されるが、野村祐輔の投じたカットボールに対し村上は完璧に読んでいたかのようなタイミングでフルスイング。ボールはライトスタンドへと吸い込まれていった。
 
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