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プロ野球

日本ハムが描く長期戦略のキーマン。平沼翔太は正遊撃手の座を射止められるのか

出野哲也

2020.01.05

今季は三塁での出場が多かった平沼だが、今季はショートのレギュラー定着を目指す。写真:朝日新聞社/日刊スポーツ

今季は三塁での出場が多かった平沼だが、今季はショートのレギュラー定着を目指す。写真:朝日新聞社/日刊スポーツ

 平沼翔太の名前を「2020年のブレイク候補」として挙げなければならないのは少々残念だ。本当ならば、彼は19年のうちにレギュラーを確保していて「期待の選手」という段階をクリアしていたかもしれなかったからだ。

 15年春の選抜高校野球大会で、平沼は敦賀気比高のエースとして福井県勢初の全国制覇を成し遂げた。しかしながら、当時から投手としてより打撃センスのほうを評価されていて、同年のドラフト4位で日本ハムに入団するとすぐに野手へ転向。二軍で遊撃手として実戦経験を積み、入団4年目の昨年4月末から三塁手として先発で使われ始め、5月4日のロッテ戦でプロ初のタイムリーヒット。16日の楽天戦ではあと少しでホームランとなる二塁打を放ち、これが決勝打となって初めてのヒーローインタビューも体験した。

 以後6月14日までの約1ヵ月間は、打席に立った試合では2試合続けてヒットが出なかったケースは一度もなし。またしぶとく粘って四球を選んでいたため、打率.261ながら出塁率は.355。レアードがロッテに去ってから固定できていなかった三塁のレギュラーポジションをつかみかけていた。
 
 ところが15日の巨人戦で、山口俊(現ブルージェイズ)から左足のふくらはぎにぶつけられてしまう。単なる打撲ではなく、松葉杖を使わなければ歩けないほどで6週間の離脱を余儀なくされた。一軍復帰した7月26日の西武戦では第1打席でプロ初本塁打。最高の復活劇となったかに思われたが、その後は結果が出ず、復帰後は打率.219/出塁率.240と下り坂の状態のままシーズンを終えた。

 たとえ怪我がなかったとしても、相手チームの研究などによって最後はこのような数字になっていたかもしれない。とはいえ、本人が「いい感じで野球ができていた」と振り返ったように、好調をキープしていた時期に1ヵ月以上もブランクが空いてしまったことで、勘が狂った面もあったのではないか。

 今季は新外国人として三塁手のビヤヌエバが加入。平沼がレギュラーを取るには本来のポジションである遊撃を狙うしかない。幸か不幸か、現在の状況は中島卓也が極度の攻撃力不足で「元レギュラー」となっており、石井一成も攻守に決め手を欠く。平沼にも大いにチャンスはある、と言うよりもファイターズの長期構想からすれば、彼が正遊撃手となってくれるのが一番理想的なのだ。

 チームメイトからは「ものすごい自信家」と呼ばれていて、契約更改の席では「ショートのレギュラーを取って規定打席到達」と述べていたが、それは大言壮語ではなく、十分に現実となる可能性がある。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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