プロ野球

DeNAのブルペンで台頭する7年目の苦労人。150キロ台後半の速球と切れ味鋭いフォークで初勝利&初ホールド!5月昇格後は失点わずか1

THE DIGEST編集部

2024.06.11

7年目の中川がDeNAの苦しい台所事情を救う存在となっている。写真:萩原孝弘

☆首脳陣も認める中川虎大の成長

 シーズンイン前、守護神や勝利の方程式として期待されていた山﨑康晃と伊勢大夢は本調子には程遠く、昨年大車輪の活躍を見せたJB・ウェンデルケンと、ロングリリーフもできる貴重な右腕の上茶谷大河は故障で離脱。計算のできるメンバーが揃ってファーム行きと、予想だにしていなかった緊急事態の渦中にあるベイスターズのブルペンにおいて、若き右腕が頭角を現わしてきた。

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 その名は中川虎大。育成として入団し這い上がってきた苦労人は、5月に初ホールド、6月1日には初勝利をマーク。「7年目っていうのもあって、負け以外何も付いてなかったことは自分の中ですごいしんどかったです」とのコンプレックスからやっと解放され、「先輩方からも、1勝したら全然違うよって言葉を色々いただいたんですけど、やっぱり違うんだなって実感できました」と屈託のない笑顔を見せた。

 この結果に繋がったのは、決してラッキーではなく、確かな実力も身についてきていることは明らか。再昇格した5月後半からは150キロ後半のストレートと、バツグンの切れ味を誇るフォークボールはブラッシュアップされ、8試合、8イニングで失点はわずか1と安定している。

 三浦監督も「今までだったらカウントを整えるのに苦労してる場面があったのが、今は打者と勝負できている。今まで経験してきた中で、もう同じ失敗はしないんだという強い思いを感じます。野球に対する取り組み方も意識も、だいぶ変わってきました」と頷く。

 大原慎司チーフ投手コーチも「前はただ腕振って速いボールを投げる、すごい変化球を投げるみたいなピッチングだった」と振り返った上で「力を抜くわけではなく、ちょっと一段階力感が抜けたようなフォームから、ある程度行き先もまとまってきています。試合の中でしか掴めないピッチャーならではの感覚がわかってきてますね。なのでいい日、悪い日といったバラつきもなくなってきてる。これは彼の頑張りってとこですね」と成長に目を細めた。
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「ビハインドであろうが、勝ってる場面だろうが、仕事は変わらないんで」