昨年12月、ドジャースが大谷翔平に提示した10年7億ドルの契約は特大のインパクトを与えた。そして、今オフはFA市場の目玉となるであろうフアン・ソト(ヤンキース)の新たな契約が注目を集めそうだ。アメリカの各種媒体は早くも具体的な契約年数や金額を予想していて、条件付きで「史上最高額」の枕詞さえ躍りそうな可能性も報じられ始めている。
【動画】フアン・ソト、ヤンキースファンを歓喜させるサブウェイ・シリーズでの一発!
2018年に19歳でメジャーデビューを果たしたソトは、メジャー2年目の19年にナショナルズ初のワールドシリーズ制覇に貢献。20年には短縮シーズンながら打率.351で首位打者に輝き、OPS1.185でもリーグトップに立つなど、若き天才スラッガーの名を欲しいままにしてきた。
パドレスを経て、昨オフに大型トレードでヤンキースに加入。ピンストライプのユニフォームに袖を通した今季もここまでMLBベストの出塁率.431を記録するなど、アーロン・ジャッジとともに強力打線を牽引している。
メジャー通算7年で出塁率が4割を切ったシーズンは一度もなく、キャリア162試合平均は34本塁打とパワーも兼備。過去4年のMVP投票では6位以内に3度入った。早熟の天才打者に用意される契約として、米メディアESPNがMLBの球団幹部28人を対象に行ったアンケート調査では、平均11.6年で4億8250万ドルとの数字が出ている。
チームメイトのアーロン・ジャッジは30歳でFAとなった22年オフに9年3億6000万ドル、大谷は29歳で前述の通り10年7億ドルという超大型契約を得たが、ソトが2人と違うのは今年10月で26歳とまだ若いこと。その事実が契約内容にも反映される可能性は極めて高い。
ESPNのアンケートでは、回答者の半分(14人)が5億ドル台、6億ドル以上との予想も3人と回答。最高額は10年6億5500万ドルだった。これは、額面では大谷の契約を下回るが、実は金銭を受け取るタイミングでの価値を考慮すれば、「MLB歴代最高」を更新する可能性もある。
周知のように、大谷は総額7億ドルのうち、全体の実に全体の97%に相当する6億8000万ドルを契約満了後の34~43年に受け取る。その頃には現在より物価が上昇し、6億8000万ドルの価値は現在よりも下がる可能性が極めて高い。実際、大谷が手にする契約額を現在の価値に照らし合わせると、4億6081.5万ドルほどと見積もられている。 つまり、ソトが繰り延べ払いなしで総額5億ドル以上の契約を獲得すれば、「実質的には史上最高額」と主張できないこともない、というわけだ。
では、実際にソトが新契約を交わすのはどのチームなのか。
代理人のスコット・ボラスは「フランチャイズの価値を高めるのだから、(球団側の)コストを心配する必要はない」と強気で、当然、候補は資金力の豊富な球団に限られるはず。その中でも、本命はやはりヤンキースか。現在、30球団最高勝率を記録しているチームと、「勝つこと」を重視していると語ったソトは相思相愛に近い関係のようだ。
対抗馬としては、メッツの名前が浮上する。年俸総額を削減して臨んだ今季は苦戦しているが、大富豪のスティーブ・コーエン・オーナーの無尽蔵の資金力を背景に21~22年は球界の度肝を抜くようなメガ補強を展開しただけに、決して侮れない。
その他にはレンジャーズやブルージェイズ、レッドソックス、古巣ナショナルズも候補として挙がっているが、面白いのはジャイアンツか。近年はブライス・ハーパー、ジャッジ、大谷、山本由伸と大物獲得失敗が続き、ファンから「サンフランシスコの治安が悪化したせいなのか」との声が出ているほどだが、ソト獲得に成功すれば、文字通り起死回生の一発となる。
6月2日、ソトはオラクル・パークでの一戦で2本のホームランを放ち、サンフランシスコのファンにその打棒を見せつけた。打席を離れた冬の季節にもう一つ「球界最高」の称号を手にするか。ニューヨークだけではなく、球界全体で大きく注目を集めるはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
【関連記事】好感度No.1選手はベッツ、エンジェルスは「とにかく球団運営が拙い」...アンケート企画から見えるメジャーリーガーの「本音」<SLUGGER>
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2018年に19歳でメジャーデビューを果たしたソトは、メジャー2年目の19年にナショナルズ初のワールドシリーズ制覇に貢献。20年には短縮シーズンながら打率.351で首位打者に輝き、OPS1.185でもリーグトップに立つなど、若き天才スラッガーの名を欲しいままにしてきた。
パドレスを経て、昨オフに大型トレードでヤンキースに加入。ピンストライプのユニフォームに袖を通した今季もここまでMLBベストの出塁率.431を記録するなど、アーロン・ジャッジとともに強力打線を牽引している。
メジャー通算7年で出塁率が4割を切ったシーズンは一度もなく、キャリア162試合平均は34本塁打とパワーも兼備。過去4年のMVP投票では6位以内に3度入った。早熟の天才打者に用意される契約として、米メディアESPNがMLBの球団幹部28人を対象に行ったアンケート調査では、平均11.6年で4億8250万ドルとの数字が出ている。
チームメイトのアーロン・ジャッジは30歳でFAとなった22年オフに9年3億6000万ドル、大谷は29歳で前述の通り10年7億ドルという超大型契約を得たが、ソトが2人と違うのは今年10月で26歳とまだ若いこと。その事実が契約内容にも反映される可能性は極めて高い。
ESPNのアンケートでは、回答者の半分(14人)が5億ドル台、6億ドル以上との予想も3人と回答。最高額は10年6億5500万ドルだった。これは、額面では大谷の契約を下回るが、実は金銭を受け取るタイミングでの価値を考慮すれば、「MLB歴代最高」を更新する可能性もある。
周知のように、大谷は総額7億ドルのうち、全体の実に全体の97%に相当する6億8000万ドルを契約満了後の34~43年に受け取る。その頃には現在より物価が上昇し、6億8000万ドルの価値は現在よりも下がる可能性が極めて高い。実際、大谷が手にする契約額を現在の価値に照らし合わせると、4億6081.5万ドルほどと見積もられている。 つまり、ソトが繰り延べ払いなしで総額5億ドル以上の契約を獲得すれば、「実質的には史上最高額」と主張できないこともない、というわけだ。
では、実際にソトが新契約を交わすのはどのチームなのか。
代理人のスコット・ボラスは「フランチャイズの価値を高めるのだから、(球団側の)コストを心配する必要はない」と強気で、当然、候補は資金力の豊富な球団に限られるはず。その中でも、本命はやはりヤンキースか。現在、30球団最高勝率を記録しているチームと、「勝つこと」を重視していると語ったソトは相思相愛に近い関係のようだ。
対抗馬としては、メッツの名前が浮上する。年俸総額を削減して臨んだ今季は苦戦しているが、大富豪のスティーブ・コーエン・オーナーの無尽蔵の資金力を背景に21~22年は球界の度肝を抜くようなメガ補強を展開しただけに、決して侮れない。
その他にはレンジャーズやブルージェイズ、レッドソックス、古巣ナショナルズも候補として挙がっているが、面白いのはジャイアンツか。近年はブライス・ハーパー、ジャッジ、大谷、山本由伸と大物獲得失敗が続き、ファンから「サンフランシスコの治安が悪化したせいなのか」との声が出ているほどだが、ソト獲得に成功すれば、文字通り起死回生の一発となる。
6月2日、ソトはオラクル・パークでの一戦で2本のホームランを放ち、サンフランシスコのファンにその打棒を見せつけた。打席を離れた冬の季節にもう一つ「球界最高」の称号を手にするか。ニューヨークだけではなく、球界全体で大きく注目を集めるはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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