プロ野球

【DeNA】古巣中日に抱く複雑な想い、サヨナラ打で恩返し… 京田陽太、プロ8年目の矜持「与えられたところでしっかり準備して頑張るだけ」

萩原孝弘

2024.07.13

プロ初のサヨナラヒットを放った京田。古巣への恩返しとなる一打だった。写真:萩原孝弘

☆初のサヨナラ打に歓喜

「日頃の行ないが良いのかなと思います」

 夏の9連戦の最初のカード、ドラゴンズにスイープを果たした立役者の京田陽太は、ヒーローインタビューでファンに笑顔を届けた。

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 ベイスターズのユニホームに袖を通して2年目のシーズン。トレード後の入団会見では「寂しい気持ちは正直あるんですけど、活躍して恩返ししたい気持ちはあります」と決意。「僕が入って、もっとコテンパンにできたらなと思います」と古巣に対する想いを隠すことなく吐露していた男は、因縁のドラゴンズ相手に自身初のサヨナラヒットを放ち、その言葉を現実のものにしてみせた。

 2017年のルーキーイヤーからショートのレギュラーとして君臨。選手会長も務め、名実ともにドラゴンズの顔だったが、立浪政権となると立場は一転した。22年にはそれまで100試合以上に出場していたが、監督から「戦う顔をしていない」と酷評されたこともあり、43試合出場へと激減。それだけに新天地での再起にかける思いは強かった。

 ベイスターズ移籍1年目の昨年は打率.227に終わったが、一定の存在感は発揮。今季は開幕当初は守備固めや代走の役割でチームに貢献していくと、若手のホープ・森敬斗や、右打ちのベテラン・大和との併用ながら、安定した守備力とサードやファーストも高いレベルでこなすユーティリティ性も買われ、次第にスタメンでの出場も増していった。

 だがホームランを含む猛打賞をマークした日の翌日でも控えに回るなど、チーム事情とはいえ難しい役どころ。「自分で言うのもなんですけれども、難しい起用ではありますが…」と素直な気持ちも吐露する。それでも「僕自身は毎日スタメンで出るつもりというか、気持ちで来てます」とモチベーションは高くキープ。それには「途中からでも、やっぱりチームに期待されてると感じていますので」と意気に感じているパートも大きいと告白した。

 充実した"気"も相まってか、交流戦前の打率は.207に留まっていたが、交流戦からは.407とバッティングの調子も急上昇。サヨナラヒットの場面では、ドラゴンズの誇るブルペン陣の一角を占める左腕・齋藤綱記の低めに逃げていくスライダーを上手く拾い、前進守備のショートの頭を超してみせた。これには「とにかく気持ちで食らいつきました。3塁ランナーが桑原(将志)さんだったので、バットに当てれば何か起きるかなと思って。クソボール球でしたけど、食らいつきました」と殊勲の一打に対して、主に精神面にクローズアップしていたが「ボールを打とうとは思ってないですけど、反応で」と調子の良さが結果につながっているポイントも見逃せない。
 
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「自分のバッティングの感覚っていうのが、だいぶ戻ってきたのかな」

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