今永昇太(カブス)がオールスターの練習時間中、「Mic’d up」に臨んだ動画が面白い。「Mic'd up」とは、ユニフォームに小型マイクを付けて、試合中や練習中の選手の会話が聞こえるようにするものだ。オールスター・ゲームではおなじみの風景の中で「今永らしさ」は満載だった。
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打撃練習中、外野のブルペンに向かう途中で大谷翔平(ドジャース)に遭遇し、「キャッチボールするんですか?」と問われて、「やる、やる」と答える。大谷から「(打球から)お守りしますよ」と言われ、「豪華なセキュリティ(警護)や!」と笑う。
さらに大谷にグラブのサイズを聞いたり、広島カープでもマスコットの「中の人」を務めていたブレーブスのマスコットを大谷に紹介したり。ようやく辿り着いたブルペンでは、1995年の野茂英雄(ドジャース)以来となる「新人オールスター先発」に指名されていたポール・スキーンズ(パイレーツ)がウォーミングアップしているのを見て、「メッチャやってる」と驚いたり、エドウィン・スタンベリー通訳から、「今永さんの写真、撮りますか?」と問われて「とりあえず、風景でいいよ、一旦」と言ったりとか。
「え? 何が一旦なの?」と突っ込みたくなるぐらいの追跡映像だったが、普段とは少し違う彼の後を、普段とは少し違う感じで歩いていたスタンベリー通訳の姿を見ながら、今永がオールスターに選出された7月7日の会見のことを思い出した。
あの日、スタンベリー通訳を引き連れて会見場にやってきた今永は、いつもの登板後と同じシリアスな表情で、淡々と質問に答えていた。とはいえ、質疑応答が進むにつれて、少し予想を裏切るような答えとともに、表情がほぐれてくるのが常である。キリっとした顔つきは崩さないが、よく見ると目が笑っていたり、口元が少し綻んでいたり。 件の会見でも「選ばれたことは、通訳であるエドウィンのサポートがなければなかったことなので、2人でオールスターに行けるのが嬉しい」と言って、取り囲んだ記者たちを和ませた。
以前にもメジャーリーグにおける成功の要因を問われ、「エドウィンのおかげもあって……」などと話したことがあり、そういう時はいつも、例のキリっとした顔つき+目が笑っている+口元も少し綻んでいる表情になっていた。
スタンベリー通訳も、普段は今永と同じぐらい、とてもシリアスな表情を崩さない人なので、会見で自分を褒め称えなければならなくなった時はいつも、困惑しつつも照れ笑い。正直、『イジられているのかな?』とも思った。
その考えが変わったのは、会見が日本メディアに引き継がれてからのことだ。「感謝を伝えたい人はいますか?」というベタな質問に対し、今永がきっぱりと「エドウィンでしょうね」と即答したからだ。
「僕がこうしてくれと言ったわけじゃないんですけど、彼は通訳という業務だけじゃなくて、自分でデータを調べてきてくれたりとかする。ある選手の高校生の時の成績とか、大学の時の成績とか、この選手はどんな選手で、何年何十億の契約をしているとか、そういうレベルまで教えてくれる」
通訳の仕事は多岐に渡る。試合や練習中、コーチや他の選手との間を取り持つだけではなく、大谷選手の一件でも明らかになったように、時には個人情報を取り扱うこともあるし、球場外の食事や家族、知人のケアなどもすることも少なくない。本当に困った時だけでいいよ、という通訳もいれば、メディアに誤解されたくないから、と会見時のみの通訳もいるし、選手によって業務内容はかなり違う。
政治や経済関連の通訳同様、それなりに専門知識も必要で、アスリートの通訳の場合、身体の部位、疲労や怪我の名称、その症状のレベルなど、ある程度の医療知識も必要になってくる。以前のコラムでも書いたが、データ全盛の昨今のメジャーリーグでは、試合や練習で投手が投げるボールの回転効率や回転軸などの情報を正確に把握するための専門知識も必要だ。
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打撃練習中、外野のブルペンに向かう途中で大谷翔平(ドジャース)に遭遇し、「キャッチボールするんですか?」と問われて、「やる、やる」と答える。大谷から「(打球から)お守りしますよ」と言われ、「豪華なセキュリティ(警護)や!」と笑う。
さらに大谷にグラブのサイズを聞いたり、広島カープでもマスコットの「中の人」を務めていたブレーブスのマスコットを大谷に紹介したり。ようやく辿り着いたブルペンでは、1995年の野茂英雄(ドジャース)以来となる「新人オールスター先発」に指名されていたポール・スキーンズ(パイレーツ)がウォーミングアップしているのを見て、「メッチャやってる」と驚いたり、エドウィン・スタンベリー通訳から、「今永さんの写真、撮りますか?」と問われて「とりあえず、風景でいいよ、一旦」と言ったりとか。
「え? 何が一旦なの?」と突っ込みたくなるぐらいの追跡映像だったが、普段とは少し違う彼の後を、普段とは少し違う感じで歩いていたスタンベリー通訳の姿を見ながら、今永がオールスターに選出された7月7日の会見のことを思い出した。
あの日、スタンベリー通訳を引き連れて会見場にやってきた今永は、いつもの登板後と同じシリアスな表情で、淡々と質問に答えていた。とはいえ、質疑応答が進むにつれて、少し予想を裏切るような答えとともに、表情がほぐれてくるのが常である。キリっとした顔つきは崩さないが、よく見ると目が笑っていたり、口元が少し綻んでいたり。 件の会見でも「選ばれたことは、通訳であるエドウィンのサポートがなければなかったことなので、2人でオールスターに行けるのが嬉しい」と言って、取り囲んだ記者たちを和ませた。
以前にもメジャーリーグにおける成功の要因を問われ、「エドウィンのおかげもあって……」などと話したことがあり、そういう時はいつも、例のキリっとした顔つき+目が笑っている+口元も少し綻んでいる表情になっていた。
スタンベリー通訳も、普段は今永と同じぐらい、とてもシリアスな表情を崩さない人なので、会見で自分を褒め称えなければならなくなった時はいつも、困惑しつつも照れ笑い。正直、『イジられているのかな?』とも思った。
その考えが変わったのは、会見が日本メディアに引き継がれてからのことだ。「感謝を伝えたい人はいますか?」というベタな質問に対し、今永がきっぱりと「エドウィンでしょうね」と即答したからだ。
「僕がこうしてくれと言ったわけじゃないんですけど、彼は通訳という業務だけじゃなくて、自分でデータを調べてきてくれたりとかする。ある選手の高校生の時の成績とか、大学の時の成績とか、この選手はどんな選手で、何年何十億の契約をしているとか、そういうレベルまで教えてくれる」
通訳の仕事は多岐に渡る。試合や練習中、コーチや他の選手との間を取り持つだけではなく、大谷選手の一件でも明らかになったように、時には個人情報を取り扱うこともあるし、球場外の食事や家族、知人のケアなどもすることも少なくない。本当に困った時だけでいいよ、という通訳もいれば、メディアに誤解されたくないから、と会見時のみの通訳もいるし、選手によって業務内容はかなり違う。
政治や経済関連の通訳同様、それなりに専門知識も必要で、アスリートの通訳の場合、身体の部位、疲労や怪我の名称、その症状のレベルなど、ある程度の医療知識も必要になってくる。以前のコラムでも書いたが、データ全盛の昨今のメジャーリーグでは、試合や練習で投手が投げるボールの回転効率や回転軸などの情報を正確に把握するための専門知識も必要だ。
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