プロ野球

オリックス“ベテラン”山田修義の止まらぬ進化「左バッターのインコースに投げられるようになった」【オリ熱コラム2024】

どら増田

2024.07.26

平野佳寿や比嘉幹貴が不在とあって、リリーフ陣では最年長格に。事実上のリーダーとしてブルペンを引っ張っている。写真⚫︎野口航志(DsStyle)

 オリックスは前半戦に中継ぎ陣がほぼ総入れ替えされるピンチの中、15年目のベテラン左腕・山田修義が今シーズンもブルペンをしっかり支え続けている。前半戦では28試合に登板し、1勝0敗8ホールド。防御率は2.42と抜群の成績だ。数少ない左の中継ぎとあって、ピンチでの登板も多く、キッチリと仕事をしてベンチの信頼も厚い。

 山田は2009年にドラフト3位で敦賀気比高からオリックス入り。14年にはトミー・ジョン手術を受けたため育成契約になったが、翌年に支配下復帰。当時は主に先発として起用されていたが、17年には1勝も挙げることができず、当時オリックスに在籍していた捕手の伊藤光が「何としてでも勝たせてあげたかった」と悔しさを滲ませていたのを思い出す。
 
 しかし、18年に中継ぎに転向するとこれがズバリとハマり、8月には18試合登板で月間史上最多タイ記録をマークした。以降は回またぎも可能なリリーバーとして、ブルペンには欠かせない存在となり、21年は43試合登板で9ホールド、防御率2.27を記録してチームのリーグ優勝に大きく貢献。昨季は32試合に登板し、防御率1.15とキャリアハイの成績をマークしている。

 今季について山田は「キャンプから特に変えたことはない」としながらも「左バッターのインコースには投げられるようになりました」とこれまで課題としてきたインコースの出し入れができるようになったという。山田といえばストレートの他にスライダーかカットか分かりにくい変化球を持ち球にしていて、これを左バッターのインコースに投げられることによって「(投球の)幅が広がった」そうだ。
 

 また、ストレートの球速も140キロ台後半に増したていて、「今年は最初の方は全然出なくて。そうですね。ちょっと意識変えてしたりして。腕の使い方とかを昨年みたいな感じで、少しショートアームにするとかそういうところを意識しました」と、キャンプから自分自身で改善すべき点を改善できたことが大きく影響しているようだ。

 球速が増したことにより「スライダーだけじゃなくストレートで追い込んでからストレートで決められるようになった」と、今年は左バッターの内角にズバッと決める場面も多い。一新された中継ぎ陣にあって、「若い子には負けないように僕も頑張らなきゃなと思う」という気持ちを胸にをブルペンでも腕を振っている。

 山田が先発時代に苦悩している姿を見てきただけに、筆者としては中継ぎの一角として欠かせない存在になったのは感慨深いものがある。本人は「そうですね。でもまだいいピッチャーはたくさんいますから」と配置転換がハマったことに喜びを感じながらも現状に満足することはない。

 そんな山田にとって忘れられないのが、支配下に再登録後、復帰のマウンドになった神戸での大声援だ。あの時、神戸で山田に拍手を贈ったファンは、山田の活躍を現在も喜びの気持ちをもって見守り続けているはずだ。ファンの声援を背に受けて、山田は後半戦もチームの危機を救ってくれるはずだ。

取材・文⚫︎どら増田
写真⚫︎野口航志(DsStyle)
 

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