現地7月30日午後6時。MLBはトレード・デッドラインを迎え、夏の移籍ラッシュが終結した。ポストシーズン進出を目指すオリオールズ、フィリーズ、ヤンキース、パドレス、カーディナルス、マリナーズのコンテンダー6チームは、果たしてどのような補強をしたのか見ていこう。
【ポジション略号】
SP=先発投手、RP=救援投手、IF=内野手、OF=外野手
▼オリオールズ
SP:ザック・エフリン
SP:トレバー・ロジャース
RP:グレゴリー・ソト
RP:セランソニー・ドミンゲス
DH:エロイ・ヒメネス
OF:オースティン・スレイター
噂されていたタリク・スクーバル(タイガース)獲得こそならなかったが、デッドラインまでの5日間で6件ものトレードを敢行。昨季最多勝のエフリンを筆頭に、投手陣の戦力底上げに成功した。カギを握るのはロジャースだ。21年に新人王投票2位と活躍も、以降は故障や不振に苦しみ、今季もここまで2勝9敗、防御率4.53。だが、ここ9先発に限れば3.17と好投している。交換相手に複数のプロスペクトを放出しており、復活に自信があるということか。
▼フィリーズ
RP:カルロス・エステベス
OF:オースティン・ヘイズ
RP:タナー・バンクス
6月以降苦戦が続いているブルペンの増強を目標に掲げ、左右一枚ずつリリーバーを補強。特にクローザーの補強は必要不可欠で、エステベスは赤丸急上昇中のプロスペクト2人を放出してまで獲得した。また、外野は左投手に苦戦していることから、右の外野手はヘイズの補強は地味に大きい。「2023年のオールスター選手だし、単なるプラトーンとは考えていない」(ボビー・トムソン監督)らしく、外野の攻撃力向上のカギを握る存在になるかもしれない。
▼ヤンキース
IF/OF:ジャズ・チゾムJr.
RP:エニエル・デロスサントス
RP:マーク・ライターJr.
ギャレット・クローシェイ(ホワイトソックス)やブレイク・スネル(ジャイアンツ)など多くのビッグネームの噂で名前が挙がっていたが、終わってみれば最大の大物はチゾムJr.。27日に加入すると、2日後のフィリーズ戦では今季初めて三塁を守って1試合2本塁打をかっ飛ばすなど、早くも新天地で躍動している。内野に加えてブルペンも補強ポイントだったが、右の2投手獲得で最低限の目標はクリアした。
▼パドレス
RP:タナー・スコット
RP:ジェイソン・アダム
RP:マーティン・ペレス
RP:ブライアン・ホーイング
ブルペンの底上げに全精力を集中し、リリーフでは今夏の移籍市場で最も注目を集めていたスコット、WBCアメリカ代表のアダムなど4人を獲得。何と言っても、ドジャースも狙っていたスコット争奪戦に勝利したことが最大の収穫で、地区ライバルの戦力向上を阻止したという意味でも大きい。先発投手は獲得できず、複数のトップ・プロスペクト投手を放出するなど高い代償を支払ったが、一連の補強でブルペンは球界屈指の陣容へ変貌。ポストシーズンでも台風の目になるかもしれない。
▼カーディナルス
SP:エリック・フェッディ
OF:トミー・ファム
RP:ショーン・アームストロング
ほとんどプロスペクトを放出することなく補強ポイントを的確に埋めたため、MLB公式は「今夏のトレード・デッドライン勝ち組ランキング」で1位に選出。格安でフェッディを手に入れて先発ローテ強化に成功し、左腕に苦戦している打線に左殺しのファムを補強。疲弊しているブルペンにもアームストロングを加えた一方、手放したのは今季1試合も出ていないUTのトミー・エドマン(→ドジャース)と、期待を裏切り続けているディラン・カールソン(→レイズ)、それに下位のプロスペクト2人と手腕が光った。
▼マリナーズ
OF:ランディ・アロザレーナ
IF/DH:ジャスティン・ターナー
RP:イミ・ガルシア
RP:JT・シャグワ
トレード好きのジェリー・ディポート編成総責任者が今夏も積極的に動いた。他のチームと異なり先発ローテには好投手が揃っているため、貧打線とブルペンの強化に注力。パワーとスピードを兼ね備えるアロザレーナと、ベテランのコンタクトヒッター、ターナーの補強に成功し、ブルペンの層も厚くした。『ベースボール・アメリカ』誌のプロスペクト・ランキングトップ100の選手は誰も放出せずに済んだことで、ディポート編成総責任者はニンマリ。
構成●SLUGGER編集部
【関連記事】先発ローテにはフラハティを補強し、複数のユーティリティも加入――ドジャースのトレード・デッドライン獲得選手一覧
【ポジション略号】
SP=先発投手、RP=救援投手、IF=内野手、OF=外野手
▼オリオールズ
SP:ザック・エフリン
SP:トレバー・ロジャース
RP:グレゴリー・ソト
RP:セランソニー・ドミンゲス
DH:エロイ・ヒメネス
OF:オースティン・スレイター
噂されていたタリク・スクーバル(タイガース)獲得こそならなかったが、デッドラインまでの5日間で6件ものトレードを敢行。昨季最多勝のエフリンを筆頭に、投手陣の戦力底上げに成功した。カギを握るのはロジャースだ。21年に新人王投票2位と活躍も、以降は故障や不振に苦しみ、今季もここまで2勝9敗、防御率4.53。だが、ここ9先発に限れば3.17と好投している。交換相手に複数のプロスペクトを放出しており、復活に自信があるということか。
▼フィリーズ
RP:カルロス・エステベス
OF:オースティン・ヘイズ
RP:タナー・バンクス
6月以降苦戦が続いているブルペンの増強を目標に掲げ、左右一枚ずつリリーバーを補強。特にクローザーの補強は必要不可欠で、エステベスは赤丸急上昇中のプロスペクト2人を放出してまで獲得した。また、外野は左投手に苦戦していることから、右の外野手はヘイズの補強は地味に大きい。「2023年のオールスター選手だし、単なるプラトーンとは考えていない」(ボビー・トムソン監督)らしく、外野の攻撃力向上のカギを握る存在になるかもしれない。
▼ヤンキース
IF/OF:ジャズ・チゾムJr.
RP:エニエル・デロスサントス
RP:マーク・ライターJr.
ギャレット・クローシェイ(ホワイトソックス)やブレイク・スネル(ジャイアンツ)など多くのビッグネームの噂で名前が挙がっていたが、終わってみれば最大の大物はチゾムJr.。27日に加入すると、2日後のフィリーズ戦では今季初めて三塁を守って1試合2本塁打をかっ飛ばすなど、早くも新天地で躍動している。内野に加えてブルペンも補強ポイントだったが、右の2投手獲得で最低限の目標はクリアした。
▼パドレス
RP:タナー・スコット
RP:ジェイソン・アダム
RP:マーティン・ペレス
RP:ブライアン・ホーイング
ブルペンの底上げに全精力を集中し、リリーフでは今夏の移籍市場で最も注目を集めていたスコット、WBCアメリカ代表のアダムなど4人を獲得。何と言っても、ドジャースも狙っていたスコット争奪戦に勝利したことが最大の収穫で、地区ライバルの戦力向上を阻止したという意味でも大きい。先発投手は獲得できず、複数のトップ・プロスペクト投手を放出するなど高い代償を支払ったが、一連の補強でブルペンは球界屈指の陣容へ変貌。ポストシーズンでも台風の目になるかもしれない。
▼カーディナルス
SP:エリック・フェッディ
OF:トミー・ファム
RP:ショーン・アームストロング
ほとんどプロスペクトを放出することなく補強ポイントを的確に埋めたため、MLB公式は「今夏のトレード・デッドライン勝ち組ランキング」で1位に選出。格安でフェッディを手に入れて先発ローテ強化に成功し、左腕に苦戦している打線に左殺しのファムを補強。疲弊しているブルペンにもアームストロングを加えた一方、手放したのは今季1試合も出ていないUTのトミー・エドマン(→ドジャース)と、期待を裏切り続けているディラン・カールソン(→レイズ)、それに下位のプロスペクト2人と手腕が光った。
▼マリナーズ
OF:ランディ・アロザレーナ
IF/DH:ジャスティン・ターナー
RP:イミ・ガルシア
RP:JT・シャグワ
トレード好きのジェリー・ディポート編成総責任者が今夏も積極的に動いた。他のチームと異なり先発ローテには好投手が揃っているため、貧打線とブルペンの強化に注力。パワーとスピードを兼ね備えるアロザレーナと、ベテランのコンタクトヒッター、ターナーの補強に成功し、ブルペンの層も厚くした。『ベースボール・アメリカ』誌のプロスペクト・ランキングトップ100の選手は誰も放出せずに済んだことで、ディポート編成総責任者はニンマリ。
構成●SLUGGER編集部
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