プロ野球

「弱気なところを一切出さないクローザーになりたい」初心を体現する巨人の“絶対守護神”大勢の快進撃【密着女子アナが見た巨人】

真鍋杏奈

2024.08.31

クローザーとして抜群の安定感を誇る大勢。胴上げ投手への期待も高まっている。写真:産経新聞社

 この夏はパリ五輪が熱かった。

【動画】まさに圧巻の投球! 巨人の絶対的守護神・大勢、三者三振で試合を締める

「諦めなくて良かった」(体操男子団体金メダル・橋本大輝)
「1%の可能性を信じた」(スケートボード男子ストリート金メダル・堀米雄斗)

 激闘を大逆転の末に制した選手の言葉が胸に響いた。スポーツは最後まで何があるか分からない。彼らは最後まで"勝利"を信じ抜くのだ。

 まさに佳境を迎えているプロ野球でも、日々熱戦が繰り広げられ、選手たちは毎試合勝つことを信じて戦っている。

 8月30日終了時点で、巨人は2位・広島に0.5ゲーム差をつけての首位。4年ぶりのリーグ優勝、12年ぶりの日本一が十分に狙える位置につけている。

 昨季まで2年連続Bクラス。今季から就任した阿部慎之助監督は「守り勝つ野球」を掲げ、犠打や進塁打を重視しながら1点を粘り強く奪い、投手力を固めてここまで戦ってきた。

「後ろがしっかりすればすべて落ち着く」

 昨季、ブルペン防御率が12球団ワーストだったことを受け、阿部監督は開幕前にそのように話していた。そして、覇権奪回のキーマンとして「大勢」の名前を挙げた。
 大勢投手は、プロ1年目の2022年開幕から"抑え"を任され、球団史上初の「新人開幕戦初登板初セーブ」を達成し、瞬く間に脚光を浴びた。

 当時の取材ノートを見返してみると、「"クローザー"というポジションに昔から憧れていました。『この選手が出てきたらもうダメだ』と相手に思わせる。弱気なところを一切出さない"クローザー"になりたいです。」―-思い描く選手像を初々しく語っていた。

 この年、大勢は新人最多タイとなる37セーブを記録し、新人王に輝いた。「大勢が出てくれば安心、今日も勝った!」そんな風にチームもファンも感じていたと思う。

 輝かしいプロ野球人生をスタートさせた大勢だったが、その後は順風満帆にはいかなかった。

 昨季は右上肢のコンデション不良の影響で、27試合の登板で3勝0敗14セーブ防御率4.50にとどまった。復活を目指した今季は春季キャンプで右ふくらはぎを痛めたが、開幕には間に合った。

「昨季は悔しいというか、自分自身思うようにいかなかったので、今年はやり返してやろうという気持ちが大きい。"9回"をもう一度任せてもらえるように、結果を出して期待に応えたい」

 今季に懸ける想いには並々ならぬものがあった。

 迎えた3月29日の阪神との開幕戦、4対0で迎えた9回表に「大勢」の名前がコールされると、東京ドーム中に大きな拍手と歓声が上がった。やはり、彼の姿をたくさんの人が待ち望んでいたのだ。
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「プレッシャーというより、その期待を超えて投げるんだという気持ちが大きい」

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