プロ野球

「バファエールいい曲ですね」引退セレモニーを固辞したはずのオリックス比嘉幹貴のユーモアあふれるラストゲーム【オリ熱コラム2024】

どら増田

2024.09.26

右のワンポイントとして、長年オリックスのブルペンを支えた比嘉。最後の舞台も「らしさ」全開だった。写真:野口航志(DsStyle)

 オリックスの頼れるワンポイント比嘉幹貴が今シーズン限りでユニフォームを脱ぐ。

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 140キロ台後半をマークするサイドスローで、右の主砲を次々と打ち取り、時には火消し役としてチームに貢献した。2009年にドラフト2位で日立製作所から入団。それから15年が経ち、チーム最年長となった41歳は身を引く決断をした。

 今季の成績は5試合に登板、0勝0敗、防御率0.00、二軍では12試合に登板、1勝0敗、防御率1.59。引退を決めた原因となった左膝の状態が悪かったため、試合数は少なかったものの、登板した試合では好投を見せている。中嶋聡監督が用意した現役最後の登板となった16日のソフトバンク戦では二死二塁の場面で登場、同郷の山川穂高に四球を与えるも、続く中村晃をレフトフライに打ち取り、無失点で抑え切っている。

 比嘉は「今シーズンをもちまして現役を引退させていただきます。
「入団した当初は、この年齢までユニフォームを着て戦えるとは思っていませんでした」と振り返った比嘉。「野球を教えてくれた父、どんな時も見守ってくれた母、文句一つ言わず野球中心の生活をさせてくれた妻、息子達。家族の支えで今があります。ありがとう」と家族に感謝を伝えると、ファンにもメッセージを送った。

「ファンの皆さん、私は京セラドーム大阪のマウンドが大好きです。マウンド上でいただいた温かい声援は、いつも背中を押してくれました。大きなパワーをもらいました。嬉しかったです。2014年に優勝することができず、チームとして本当に苦しい時期が長くありました。どんな時でも声援を送り続けてくださり、やっと優勝できた時に、ファンの皆さんと喜びを分かち合えたときは、幸福感でいっぱいでした。御堂筋での優勝パレードの景色、一生忘れません」
「本来であれば、皆様の前で直接お伝えすべきところではありますが、私自身、そういったことが本当に苦手な性分であり、こうして球団や報道を通じてのご挨拶となりますことをお許しください」と綴ったのも比嘉らしかった。

 引退セレモニーを「苦手」という理由で固辞したことを明らかにしていた比嘉だが、24日の西武戦では、同じく今季限りで引退するT-岡田、安達了一、小田裕也とともにセレモニーに参列すると、中嶋監督から「ひと言聞きたいです」と挨拶を促されるサプライズ。比嘉はライトスタンドの応援団に向かって「バファエールいい曲ですね」と話しかけ、「セレモニーやらないって言ったのに長々とすみません」と自虐的に話すなどユーモアあふれるスピーチでファンも大喜びだった。

 同期入団の山田修義によると、最後の登板となった16日のソフトバンク戦では「ブルペンでもいつもより緊張していたのが分かった」という。山田にとって比嘉は「同期入団なんでお兄ちゃん的な存在」だったそうで「投球前の準備とか、練習も本当に細かくやっていたので、そういう面は勉強になりました」と比嘉から受けた影響について話していた。