プロ野球

2020年ヤクルトの「理想」のオーダーは?バレンティン移籍でスケールダウンは必至。若手台頭に期待する”投資”のシーズン

氏原英明

2020.01.18

村上(写真)に続く若手陣のブレイクに期待だ。写真:徳原隆元

 キャンプインまであと半月。この時期の楽しみといえば、今季の布陣を夢想することだろう。どうすれば、チームのポテンシャルを最大限に引き出せるのか。ここでは、現在の戦力を分析し、得点力向上が見込める「最良のオーダー」を考察する。

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 4番・バレンティンがソフトバンクに移籍し、打線のスケールダウンは必至。この穴をどう埋めていくかがポイントになるのは、誰の目にも明らかだ。

 結論から言えば、バレンティンの穴を埋めるのは非常に難しい。ホームラン歴代最高記録(60本)を持つスラッガーの代わりなどそうそう見つかるものではないし、そもそもヤクルトは強打者を補強していないのだ。進境著しい村上宗隆の本格化も含め
て、今季は若手の台頭に期待する"投資"のシーズンと考えたほうがいいだろう。それを踏まえて組み立てたのが、下記のオーダーである。

1(三) 廣岡大志
2(中)△青木宣親
3(二) 山田哲人
4(一)△村上宗隆
5(右)△雄平
6(遊) エスコバー
7(左) 中山翔太
8(捕) 中村悠平
9(投) ──
※△は左打ち
 
 オフ一番の変化として、2015年にロイヤルズの切り込み隊長として世界一に貢献したエスコバーの獲得が挙げられる。14年にロイヤルズで青木と1・2番コンビを形成したリードオフマンだ。

 とはいえ、この助っ人に上位打線を任せるのは得策ではない。彼の売りは、ゴールドグラブを獲得した遊撃守備と通算174盗塁の足である。全盛時でも出塁率は3割を下回ることがほとんどで、日本に来たからといって劇的に打撃面が改善されるとは考え難い。であれば、期待値も込みで廣岡大志を1番に据え、成長を促す方が建設的だ。廣岡がフィットしない場合は、移籍2年目の太田賢吾を起用するのも手だろう。

 外野陣はベテランの青木宣親、雄平の調子を見ながら、昨季35試合で5本塁打を放った中山翔太、足のある塩見泰隆、高卒2年目の濱田太貴などの若手を積極的に使いたい。その中から台頭する人材がいれば、来季以降につながる収穫となるはずだ。

 いずれにせよ、昨季の村上に続く若手陣のブレイク・底上げがないと、強みにしてきた打線のクオリティを失ってしまうだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。