アメリカを放浪中(?)だったカブスの今永昇太投手が、ラスベガスで開催されたMLBのイベントに招かれたのは、11月中旬のことだった。
ステージ上でカブスの応援歌『Go Cubs Go』を歌ったり、MLBネットワークの番組に出演し、有名カジノ、ベラージオの噴水の前で「いつでも歌えるように練習しときます」と語ったり。いわゆる「Award Week(各賞発表の週)」のためのイベントだったが、彼は「正直、何でここにいるのか分かってない」と正直に話していたそうで、MLB機構が「今年、大活躍した選手の一人」と認知していることにも、どこか他人事のようだった。
DeNAからポスティング制度によるメジャー移籍を目指したのが去年の11月だから、それからちょうど1年が過ぎた。
当時、彼がナショナル・リーグの最優秀新人賞(新人王)の投票で4位に入り、最優秀投手賞に該当するサイ・ヤング投票でも5位に入るなんてことを予想した人は、いただろうか。今年の1月、Cubs Convention≒カブスのファン感謝祭が行われていたシカゴ市内のホテルの片隅での入団会見で、彼はこう言っている。
「自分の知らない世界に飛び込むためには、対応能力だったり、その国、その環境に順応する力が大事。どんな困難な状況にも、うまく対応していくのが自分の強みだと思っている」
有言実行。今永はキャンプインする前からトレーニング施設に顔を出して、チームのほぼ全員に自己紹介を済まし、生活習慣やメジャー流の調整法を自分なりにアレンジしていった。
「何事もすべて受け入れることが大事。自分はこうだから、ではなくて、自分の考え方とかやってきたことはすべて違うと思ってやっていきたい」(キャンプ初日の今永) 日本にはないピッチ・クロックについては、「心の中で焦らないことが大事で、最後の1秒の時に動いていればいいだけ」と動じず(それでもオープン戦デビューで1球も投げないうちから、いきなりタイムオーバーしたけれど)。
ブルペンでの投球練習が始まると、日本よりも硬いマウンドに合わせてスパイクの刃を変えてみたり、DeNA時代よりも大きな体格のカブスの捕手のキャッチングスタイルに、「思ったよりも繊細で、丁寧に構えてキャッチングしている」と感想を漏らしてみたり。すでに走者を置いた時のピッチングも想定し、制限時間18秒の中で牽制もサイン交換も自分のグリップも足場も考えながら、首の使い方やグラブの角度を使い方を意識しながら、徐々に球数を増やしていった。
先発投手にとってのキャンプ第2段階。味方の打者に初めて投げる日、彼は同僚、鈴木誠也が打席に立つ前、「真っすぐだけしか投げないからね」と宣言して臨んだ。
「そう言ってたんですけど、(鈴木が打席に)バッと立つと、デカくて、外に真っすぐ投げたら、絶対に芯で弾かれるだろうし、投手返しが怖かったんで、カーブのサインが出たので投げました。それでも決着がつかなかったんで、スライダーも投げて、真っすぐだけじゃ絶対に抑えられない、と思ったんで、途中、嘘ついて変化球を混ぜました」
爆笑会見のようになったが、とても大切なことを聞いたとも感じた。
それは「投げる哲学者」などと呼ばれ、いつでも冷静沈着に見える彼が、実は直感的で、勝ち負けなど関係ない味方相手の投球でも「抑えたい」との感情に従ってマウンドに立っていたからだ。
ステージ上でカブスの応援歌『Go Cubs Go』を歌ったり、MLBネットワークの番組に出演し、有名カジノ、ベラージオの噴水の前で「いつでも歌えるように練習しときます」と語ったり。いわゆる「Award Week(各賞発表の週)」のためのイベントだったが、彼は「正直、何でここにいるのか分かってない」と正直に話していたそうで、MLB機構が「今年、大活躍した選手の一人」と認知していることにも、どこか他人事のようだった。
DeNAからポスティング制度によるメジャー移籍を目指したのが去年の11月だから、それからちょうど1年が過ぎた。
当時、彼がナショナル・リーグの最優秀新人賞(新人王)の投票で4位に入り、最優秀投手賞に該当するサイ・ヤング投票でも5位に入るなんてことを予想した人は、いただろうか。今年の1月、Cubs Convention≒カブスのファン感謝祭が行われていたシカゴ市内のホテルの片隅での入団会見で、彼はこう言っている。
「自分の知らない世界に飛び込むためには、対応能力だったり、その国、その環境に順応する力が大事。どんな困難な状況にも、うまく対応していくのが自分の強みだと思っている」
有言実行。今永はキャンプインする前からトレーニング施設に顔を出して、チームのほぼ全員に自己紹介を済まし、生活習慣やメジャー流の調整法を自分なりにアレンジしていった。
「何事もすべて受け入れることが大事。自分はこうだから、ではなくて、自分の考え方とかやってきたことはすべて違うと思ってやっていきたい」(キャンプ初日の今永) 日本にはないピッチ・クロックについては、「心の中で焦らないことが大事で、最後の1秒の時に動いていればいいだけ」と動じず(それでもオープン戦デビューで1球も投げないうちから、いきなりタイムオーバーしたけれど)。
ブルペンでの投球練習が始まると、日本よりも硬いマウンドに合わせてスパイクの刃を変えてみたり、DeNA時代よりも大きな体格のカブスの捕手のキャッチングスタイルに、「思ったよりも繊細で、丁寧に構えてキャッチングしている」と感想を漏らしてみたり。すでに走者を置いた時のピッチングも想定し、制限時間18秒の中で牽制もサイン交換も自分のグリップも足場も考えながら、首の使い方やグラブの角度を使い方を意識しながら、徐々に球数を増やしていった。
先発投手にとってのキャンプ第2段階。味方の打者に初めて投げる日、彼は同僚、鈴木誠也が打席に立つ前、「真っすぐだけしか投げないからね」と宣言して臨んだ。
「そう言ってたんですけど、(鈴木が打席に)バッと立つと、デカくて、外に真っすぐ投げたら、絶対に芯で弾かれるだろうし、投手返しが怖かったんで、カーブのサインが出たので投げました。それでも決着がつかなかったんで、スライダーも投げて、真っすぐだけじゃ絶対に抑えられない、と思ったんで、途中、嘘ついて変化球を混ぜました」
爆笑会見のようになったが、とても大切なことを聞いたとも感じた。
それは「投げる哲学者」などと呼ばれ、いつでも冷静沈着に見える彼が、実は直感的で、勝ち負けなど関係ない味方相手の投球でも「抑えたい」との感情に従ってマウンドに立っていたからだ。
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