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MLB

総額約1178億円!ソトの超破格契約で改めて痛感する「日米年俸格差」。MLBとの差は今後も広まっていく一方なのか<SLUGGER>

ナガオ勝司

2024.12.17

ソトは総額では大谷をも上回る超大型契約でメッツに入団した。(C)Getty Images

ソトは総額では大谷をも上回る超大型契約でメッツに入団した。(C)Getty Images

 15年総額7億6500万ドル=約1178億円(1ドル=154円換算)

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 平均年俸78億5400万円(実際は可変式で約115億5000万円が契約金)。

 ヤンキースからフリー・エージェント(FA)になったフアン・ソト外野手が、メッツと合意した超大型契約の内容である。

 日本プロ野球(NPB)では総額ではなく推定年俸で語られることが多いのでそちらに合わせると、NPBにおける日本人選手の史上最高年俸は田中将大投手(2021年/東北楽天)の9億円で、他の選手たちより3億円程度上回っていたが、それでもソトの約8分の1程度でしかない。

 そういう格差がどうして生まれたのかはスポーツビジネス専門家の皆さんに任せるとして、事実としてアメリカのプロ野球には高卒(か同じぐらいの年齢の)新人で早くから一軍(この場合はMLB)で活躍すれば、76億円以上の年俸を15年間にわたってもらえる仕組みがあるということだ。

 もっとも、今回のような破格の大型契約が誕生するたびに、アメリカでも賛否両論が噴出する。 

 ソトの契約は、昨オフに大谷翔平選手がドジャースと交わした10年総額7億ドルの史上最高契約を総額で上回る。そのため「エース級投手の実力がある大谷だからこそあの突出した契約になるわけで、実質、攻撃面だけで(ソトの守備の評価は高くない)こんな契約になるのは過大評価だ」などという声も上がった(SNSではもっと酷評する声もある)。

 そんな中、もっともなことを言っていたのは、マリナーズなどで活躍した元内野手で、MLBネットワークのオフの定例番組『Hot Stove』のホストを務めるハロルド・レイノルズだった。
「一つ確実に言えるのは、若くしてメジャーリーガーにならないと、こういう契約は勝ち取れないということ。最近のアメリカでは、まず大学に進学することを奨励されているし、野球で成功できなかった時のことを考えたらそれは理解できることです。しかし、それではソトの年齢(26歳)でFAにはなれないので、こんな大型契約は勝ち取れない。高校卒業と同時にプロ入りすることが、それを可能にするのです」

 そのコメントを聞いてすぐ、年明けに発表される米野球殿堂入りの候補者にもなっているアレックス・ロドリゲス元内野手を思い出した。

 先頃来日し、日本でも「A-ROD」の通称で親しまれているロドリゲスは、フロリダ州マイアミ近郊のウェストミンスター・クリスチャン高校時代、野球の遊撃手とアメリカン・フットボールのクォーターバックという花形ポジションの「スポーツ二刀流」選手だった。

 最終学年、彼は33試合で打率.505、9本塁打、36打点、35盗塁と活躍して「ドラフト全体1位指名の逸材」と注目されていたが、ドラフトに先駆けて地元マイアミ大から野球とフットボールの「スポーツ二刀流」としての奨学金を勝ち取っていた。

 当時17歳のA-RODが大学進学を諦めたのは、1993年のドラフト全体1位でマリナーズから指名されたからである。彼は3年総額230万ドル(契約金100万)で契約すると、翌年、18歳の時に早々とMLBデビュー。最初の2シーズンはメジャーとマイナーの間を行ったり来たりしたものの、96年、20歳の時にメジャーに定着して打率.358で首位打者タイトルを獲得。98年には「40-40(42本塁打&46盗塁)」を達成するなど、着実に実績を積み上げていった。
 
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