プロ野球

【キャンプの見どころ】DeNAは遊撃手のレギュラー、大和に“待った”をかける存在に注目。開幕投手は今永か?

氏原英明

2020.01.30

守備も堅実な柴田がショートのレギュラーに浮上すれば、打順の幅も出てくる可能性が高い。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

   プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートする。フリーエージェント(FA)による移籍やルーキー、新外国人など新加入選手によってチーム編成は新しくなったが、各チームがシーズンを勝ち抜くためのポイントはどこにあるのだろう。キャンプで注目される見どころを探った。

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 筒香嘉智がメジャーへ移籍した。近年、その噂はあったので、大騒ぎすることではないだろう。むしろ、ラミレス監督が「レギュラーはソトと宮崎のみ」と語っていたことから想像すると、熾烈なキャンプになることは間違いない。

 まず、注目したいのは遊撃手だ。

 昨季、121試合に出場した大和が鉄板のレギュラー候補だが、そこに柴田竜拓が割って入ることができるのかに注目したい。昨季の柴田は打率、出塁率、OPSのすべての面でキャリア最高を記録した。「守備の人」から脱却しつつあり、大和と勝負できる存在になっている。

 もしも柴田がショートでレギュラーをつかめば、二塁手に2年目の伊藤裕季也を置くことも可能になる。得点力が増える可能性もみえ、このキャンプではどこまで迫れるか注目したい。
 
 その二塁手候補・伊藤はどこまで得意の「打」で、ラミレス監督にアピールできるだろうか。二塁手のスラッガータイプはここ近年増えつつあるが、その一役を担って欲しい。守備を重視すれば、柴田になるが、存在感を見せたいところだ。

 筒香が抜けた外野のポジション争いは足のある神里和毅がリード。オースティンもおそらくレギュラーの一角に入るだろう。左翼は佐野恵太が濃厚だが、割って入る隙はいくらでもある。桑原将志、ベテランの域に入りつつある梶谷隆幸、メキシコのウィンターリーグで経験を積んだ、関根大気、C Sでのサヨナラ弾が記憶に残る乙坂智などもいる。
 
 一方の投手陣は開幕投手争いが気になるところだ。

 昨季、キャリアハイの13勝をあげた今永昇太がエース格の存在だが、ポストシーズンの大事な初戦の先発を石田健大に譲るなど絶対的な存在にはまだなり得ていない。開幕投手最有力であることは間違いないが、キャンプでどういう立場になっていくかは一つのポイントだ

 また、ローテーションのメンツは定まっていない。上茶谷大河、濱口遥大、大貫晋一らが昨季の先発登板数上位だが、井納翔一、平良拳太郎のほか、中継ぎとの兼任で起用法が注目される石田、齋藤俊介、一昨年の新人王・東克樹、有望株と叫ばれて久しい飯塚悟史や京山将弥、ルーキーの坂本裕哉など、誰にでもチャンスはあると言って過言ではない。

 リリーバーは昨季、リーグ最多登板をこなしたエスコバーをはじめ、枚数が揃っているかのように見える。ただ、先発陣がそうであるように、決まった選手だけでシーズンを過ごすのは容易なことではない。計算通りとはいかないはずで、層の厚みは長いシーズンを戦う上では必要とされるはずだ。

 メンバーを探ると先発でも挙げた齋藤は中継ぎの戦力の一人。また、ルーキーの伊勢大夢は、山崎康晃のように、プロではリリーフ適性として覚醒する可能性を感じる。また、三上朋也、砂田毅樹などの故障組の巻き返しも期待したい。サウスポーで期待できるのは、3年目の櫻井周斗。日大三時代は清宮キラーと騒がれたスライダーが出色の投手で、昨季は14試合に登板しており、いいステップを踏めるかもしれない。

 核となる投手がいることが大前提だが、それと同じくリリーフに層の厚みを考えなくてはいけない。ベイスターズの投手陣は力が拮抗しているので、このキャンプで強固な投手陣を作ってもらいたい。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。