助っ人外国人。それはチームの弱点を最も効率的に補うことができる、即効性のある補強策だ。本コラムでは、昨今の野球界のトレンドを踏まえつつ、2020年シーズンの新外国人選手をピックアップし、注目ポイントと併せて紹介する。
◆ ◆ ◆
2020年シーズンの大物助っ人外国人で、打がアダム・ジョーンズであれば、投はこのマット・ムーアである。メジャーリーグ通算で54勝、2013年には17勝を挙げオールスターにも選出されたタンパベイ・レイズのかつての左腕エースだ。
【プレースタイル・役割】
平均150kmのフォーシームを軸に、130km台前半~中盤のナックルカーブとチェンジアップ 、140km台前半のカットボールをバランス良く投げ分ける。基本的に、対左打者にはフォーシーム、ナックルカーブ、カットボールが中心となり、対右打者にはここにチェンジアップが加わる構成。メジャー通算で奪三振率が8.11と高いが、故障後のここ数年は7.00台とやや落ちており、その代わりに制球面が改善されている。四球で崩れるタイプではないが、緻密にコースを突く制球力はなく、技巧派というよりはパワーピッチャーに当たる。
ソフトバンクは、リリーフ陣の登板過多に課題を抱える。今オフには、昨年に二桁勝利を挙げた千賀や高橋礼に続く7勝を挙げたアリエル・ミランダを自由契約にした。ムーアには、先発として長いイニングを消化し、かつ二桁勝利をあげるようなローテーションの柱としての役割が求められる。バンデンハーク、モイネロ、デスパイネ、グラシアル等との外国人枠争いは熾烈なものとなりそうだ。
【注目ポイント】
ズバリ「速球の球速・球威」だ。ムーアの全盛期(2012-13年)は、フォーシームの平均球速がおおよそ150km台を誇った。しかし、故障がちだった左肘が悪化すると、2014年にはトミー・ジョン手術を受け、シーズンをほぼ全休。これを機に球速が低下し、なおかつ伸び上がるような軌道から平均的な軌道へと変わり、空振り率も低下した。
2016年にはキャリア最多となる198.1回を投げ、13勝、防御率4.08とプチ復活を果たしているが、この年は球速が150km台に復活し、空振り率も回復していた。しかし2017年には、再び速球の質が大幅に悪化し、リーグワーストの15敗を喫している。つまり、”速球の状態”が投球の生命線と言えるわけだ。
ここ2年間は、球速と空振り率において回復傾向にある点はプラス材料だろう。一方で、昨年は半月板の手術を受けており、シーズンは2試合の先発のみでほぼ全休している。本格復帰となる2020年、ムーアの速球がどこまで力強さを帯びているのか注目したい。
文●NPB外国人選手好きのtweet (@cpmmaff)
【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」!
【著者プロフィール】
1992年生まれ。外国人選手をターゲットにしたアマチュアスカウティングが趣味の社会人。NPBで輝くことができる候補の発掘や、新外国人選手の分析等、ツイッターで情報発信を続けている。英語力は0。
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2020年シーズンの大物助っ人外国人で、打がアダム・ジョーンズであれば、投はこのマット・ムーアである。メジャーリーグ通算で54勝、2013年には17勝を挙げオールスターにも選出されたタンパベイ・レイズのかつての左腕エースだ。
【プレースタイル・役割】
平均150kmのフォーシームを軸に、130km台前半~中盤のナックルカーブとチェンジアップ 、140km台前半のカットボールをバランス良く投げ分ける。基本的に、対左打者にはフォーシーム、ナックルカーブ、カットボールが中心となり、対右打者にはここにチェンジアップが加わる構成。メジャー通算で奪三振率が8.11と高いが、故障後のここ数年は7.00台とやや落ちており、その代わりに制球面が改善されている。四球で崩れるタイプではないが、緻密にコースを突く制球力はなく、技巧派というよりはパワーピッチャーに当たる。
ソフトバンクは、リリーフ陣の登板過多に課題を抱える。今オフには、昨年に二桁勝利を挙げた千賀や高橋礼に続く7勝を挙げたアリエル・ミランダを自由契約にした。ムーアには、先発として長いイニングを消化し、かつ二桁勝利をあげるようなローテーションの柱としての役割が求められる。バンデンハーク、モイネロ、デスパイネ、グラシアル等との外国人枠争いは熾烈なものとなりそうだ。
【注目ポイント】
ズバリ「速球の球速・球威」だ。ムーアの全盛期(2012-13年)は、フォーシームの平均球速がおおよそ150km台を誇った。しかし、故障がちだった左肘が悪化すると、2014年にはトミー・ジョン手術を受け、シーズンをほぼ全休。これを機に球速が低下し、なおかつ伸び上がるような軌道から平均的な軌道へと変わり、空振り率も低下した。
2016年にはキャリア最多となる198.1回を投げ、13勝、防御率4.08とプチ復活を果たしているが、この年は球速が150km台に復活し、空振り率も回復していた。しかし2017年には、再び速球の質が大幅に悪化し、リーグワーストの15敗を喫している。つまり、”速球の状態”が投球の生命線と言えるわけだ。
ここ2年間は、球速と空振り率において回復傾向にある点はプラス材料だろう。一方で、昨年は半月板の手術を受けており、シーズンは2試合の先発のみでほぼ全休している。本格復帰となる2020年、ムーアの速球がどこまで力強さを帯びているのか注目したい。
文●NPB外国人選手好きのtweet (@cpmmaff)
【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」!
【著者プロフィール】
1992年生まれ。外国人選手をターゲットにしたアマチュアスカウティングが趣味の社会人。NPBで輝くことができる候補の発掘や、新外国人選手の分析等、ツイッターで情報発信を続けている。英語力は0。