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MLB

あのジーターやグリフィーでさえ叶わず...満票での殿堂入りが取り沙汰されること自体がイチローの偉大さの証<SLUGGER>

出野哲也

2025.01.21

19年日本開幕戦での感動的な引退劇から5年あまり。ついにイチローがアメリカ野球殿堂に迎えられようとしているが、果たして日本で盛んに騒がれる「満票選出」は……? (C)Getty Images

19年日本開幕戦での感動的な引退劇から5年あまり。ついにイチローがアメリカ野球殿堂に迎えられようとしているが、果たして日本で盛んに騒がれる「満票選出」は……? (C)Getty Images

 1月21日(日本時間22日)、2025年のアメリカ殿堂入り投票結果が発表される。今回は、イチローが野手では史上初となる「得票率100%」で選出されるかどうかが注目を集めている。

 殿堂投票者が事前公表した内容を集計しているウェブサイト『Baseball Hall of Fame Vote Tracker』では、1月16日時点で全体の約41%にあたる150人全員がイチローに投票している。ただ、投票者全員に公開する義務があるわけではない。また、一人でもイチローに投票していなければ、その時点で満票ではないと分かってしまうので、事前に公開するのは好ましいとは思えないのだが、少なくとも満票の可能性があることは確かだ。

 これまで満票で殿堂に選ばれたのは史上最高のリリーフ投手だったマリアーノ・リベラただ一人。野手では20年のデレク・ジーターが1票足りなかったのが最も満票に近いケースだった。殿堂入り式典でジーターはこの点に触れ「(投票した)記者の皆さんには感謝しています。一人を除いてですが」とジョークにしたが、通算3465安打、5度の世界一に輝いたジーターですら満票にならないのだから、狭き門どころではない。
 
 イチロー本人も憧れた1990年代最高の選手の一人ケン・グリフィーJr.は3票不足(16年)、2632試合連続出場の史上最長記録を持つカル・リプケンJr.も8票足りなかった(06年)。

 とはいえ、近年はこれでも得票率が高くなっている方だ。古くは1966年のテッド・ウィリアムズが93.4%、79年のウィリー・メイズは94.7%、82年のハンク・アーロンですら97.8%、史上最多の通算1406盗塁を記録しているリッキー・ヘンダーソンも94.8%にとどまった。ジョー・ディマジオに至っては3度目の投票で55年にようやく殿堂入りしたほどで、その昔は誰であろうと1回目は絶対票を入れない、と決めていたへそ曲がりが何人もいたのだ。

 だが前述の通り、近年は事前に投票内容を公開する者が増えている。不可解な票を投じれば炎上する恐れがあり、必然的に「まともな」投票をするようになったことも、得票率が上昇している理由の一つとなっている。
 
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