プロ野球

【キャンプの見どころ】ソフトバンクは高橋純平の先発直訴で適正が問われる。内野のポジション争いも激化

氏原英明

2020.01.31

高橋純平が先発直訴。このキャンプでどれだけ適正をアピールできるか?写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

 プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートする。フリーエージェント(FA)による移籍やルーキー、新外国人など新加入選手によってチーム編成は新しくなったが、各チームがシーズンを勝ち抜くためのポイントはどこにあるのだろう。キャンプで注目される見どころを探った。

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 日本一3連覇を果たしたソフトバンクだが、リーグ制覇は2年遠ざかっている。選手層でなんとかやりくりしてきたものの、今季は安定した戦いで完全優勝を目指したいところだ。

 最も課題としているのが先発ローテーションだ。外国人枠問題を抱えているために、必ず空きが出るというのもあるが、昨季は千賀滉大、高橋礼に頼り切った印象は拭えない。

 なかでも注目されるのが昨季はリリーバーだった高橋純平が先発を直訴していることだ。
 
 もともと、ピッチングセンスに優れる2015年のドラ1は先発ローテーションの中核を担う逸材と目されてきた。しかし、ベストな状態にまで持ってくることが叶わず、1軍で見つけた場所が昨季のリリーバーだった。

 最速152キロのキレのあるストレートを持ち、カーブ、カットに近いスライダー、フォークとバランスよく操れ使いこなせる特性を生かし、今キャンプでは先発の適性を見せつけたいところだ。

 もちろん、ライバルは多い。

 ベテランの和田毅をはじめ、昨季17試合先発で5勝を挙げた大竹耕太郎、先発・リリーフと活躍を見せた武田翔太、復活を目指す東浜巨や、プエルトリコのウインターリーグ で自信をつかんだ杉山一樹、育成の星と期待される尾形崇斗らだ。

 一方のブルペン陣はここ数年の登板過多がやや心配される。選手層から考えると、疲労を考慮しながらうまく起用したい。クローザーを森唯斗に設定しつつも、復帰をめざすサファテ、昨季の終盤から戦力になった岩嵜翔らで回したい。

 それ以前は石川柊太を中心にしつつ、昨季ルーキーながら獅子奮迅の活躍を見せた甲斐野央には無理をさせず、田中正義やルーキーの津森宥紀などの新星に期待がかかる。
 
 野手陣はバレンティンの加入で外野のレギュラーが全て埋まり、ファースト争いが熾烈になりそう。

 ベテランの内川聖一と選手会長に就任した中村晃などが競う。打撃面でやや中村に分がありそうだが、内川もこのまま引き下がるはずはないだろう。セカンド兼任の明石健志も、場合によっては狙っているはずだ。

 セカンドのポジションも競争になりそう。シーズン終盤は牧原大成が務めたが、明石のほか、走塁のスペシャリスト・周東佑京も参戦予定だ。大型選手が増えつつあるなかで、周東がレギュラーを務めれば、指揮官もバランスが取れて戦いやすくなるはずだ。昨季のセカンドでのスタメンは4試合だが、オフは今宮健太と自主トレを過ごし、万全の態勢で迎える。

 甲斐拓也が鉄板のレギュラーの捕手にはルーキーの海野隆司が参戦する。2番手捕手は高谷裕亮だが、ベンチ入りに食い込み、いつかは甲斐と争えるような存在になっておきたい。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。