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3試合で球団新15本! ヤンキースのアーチ量産“魚雷バット”がブームに? 「自分のモデルが作れるのかメーカーに聞いてみたい」メジャーリーガーが強い関心

THE DIGEST編集部

2025.03.31

ヤンキースの複数選手が使用し、多くの本塁打が出たことで注目を集めているトルピードバット。(C)Getty Images

ヤンキースの複数選手が使用し、多くの本塁打が出たことで注目を集めているトルピードバット。(C)Getty Images

 ニューヨーク・ヤンキースの“魚雷バット”が注目を集めている。

 ヤンキースは開幕戦から3試合で球団新記録となる計15本塁打を記録し、4対2、20対9、12対3とミルウォーキー・ブルワーズに3連勝。とりわけ2戦目は9本のアーチで20得点を叩き出した。この試合で話題となったのが、「トルピード(魚雷)バット」だった。

 米紙『New York Post』によると、ヤンキースの複数選手が使用しているトルピードバットは、通常のバットよりも太い部分があり、先端に向かって細くなっているのが特徴。バットでとらえる可能性を高めた仕様だという。

 考案者は名門マサチューセッツ工科大学の元物理学者で、ヤンキースのアナリストやマイナーリーグ打撃コーディネーターを務めていたアーロン・リーンハート氏(今年からマイアミ・マーリンズのフィールドコーディネーター)。

 一部分を太くカスタマイズしたバットは、直径2.61インチ(約6.6センチ)、長さ42インチ(約106.6センチ)を超えてはいけないMLB規定の範囲内に収まっており、ルール違反には当たらない。

 ヤンキースではジャズ・チゾムJr.、コディ・ベリンジャー、ポール・ゴールドシュミット、オースティン・ウェルズ、アンソニー・ボルピーが使用しているという。

 実際、ブルワーズとの3連戦でチゾムJr.が3本、ウェルズとボルピーが2本ずつ、ゴールドシュミットとベリンジャーがそれぞれ1本の本塁打を放った。22年にリーグ最多62本塁打を放ち、24年に58本で本塁打王に輝いたアーロン・ジャッジは、開幕3試合で4発をスタンドに打ち込んでいるが、「うまくいっているのに、なぜ何かを変える必要があるのか」という理由で、トルピードバットを使っていない。

 ただ、トルピードバットはどんな選手でも打てるようになるとは限らない。同紙によるとジャンカルロ・スタントンは24年シーズンにトルペードバットを使っていたが、現在は両肘通で戦線離脱中。肘の炎症の原因がバットにあると示唆した。また、ベリンジャーはカブス時代に練習で試したが感覚がフィットしなかったため、カブスでは試合で使用していなかった。

 元ヤンキースで現サンディエゴ・パドレスのブランドン・ロックリッジも感覚が合わないとして、オリジナルバットの使用を続けている。一方で、『MLB.com』は、「トルピードバットの話題がリーグ中に広まっている。タンパベイ・レイズのジュニオール・カミネロは3月30日の試合でトルピードバットを使って内野安打を打った。ボルティモア・オリオールズの選手も、このバットを試したと語った」と、使用者が増えていると報じた。

【画像】一般的なバットとトルピードバットの比較
 
 一方で、トルピードバットについて苦言を呈する声も挙がっている。実業家でスポーツメディア『Barstool Sports』の創業者デーブ・ポートノイ氏は、「トルピードバットの使用は不正で、コルクバットと同じようなもの。MLBは規制するべきだ」と自身のXで主張した。ポートノイ氏はヤンキースの宿敵ボストン・レッドソックスのファンでも知られている。また、ヤンキースに3連敗したブルワーズのトレバー・メギル投手も、トルピードバットを「ひどいものだ」と酷評した。ただ、「アイデアは天才的」と続けている。

 米放送局『Fox News』は、さらにブルワーズの選手の見解を紹介。第2戦で先発し、5本の本塁打を浴びた先発投手ネスター・コルテスは、「とくに目新しいものではない。昨年、何人かの選手があのバットを使っていたのは知っている。バットが問題ではないと思う。科学技術的な何らかの裏付けがあるのは理解しているが、とくに気にならない」と発言。コルテスは21年から24年までヤンキースに所属していた。

 さらに一塁手のリース・ホスキンスは、「バットの形状が違うことを、試合が終わるまで気付かなかった。ヤンキースの打者はトルピードバットをうまく扱ったんだろう。個人的にどんなバットなのか興味はあるね。誰でも打てるようになるわけではないだろうが、いくつかのバットメーカーに自分モデルが作れるのか聞いてみたい。試してみたいね」と語った。

 以前から一部で使用されていたトルピードバットは、批判的な意見もあるなか、MLBで一気にブームとなるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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