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MLB

今季が契約最終年となる田中将大。FAイヤーに”レンタル移籍”はあるのか?

宇根夏樹

2020.02.01

2020年が契約最終年となる田中。もしかしたら17年のダルビッシュのように、シーズン途中で移籍するかもしれない。(C)Getty Images

2020年が契約最終年となる田中。もしかしたら17年のダルビッシュのように、シーズン途中で移籍するかもしれない。(C)Getty Images

 FAイヤーの選手は、シーズン途中に移籍する可能性が高まる。ポストシーズンへ進めそうにないと判断した球団は、その選手をトレードで放出することで、見返りを得ようとする。FAとなった直後にクオリファイング・オファーを申し出て(その選手が他球団と契約した際に)翌年のドラフト指名権を得る方法もあるが、このクラスの選手であれば、トレードの方が大きな見返りを手に入れられることが多い。

 2017年の夏に、ダルビッシュ有(現カブス)がレンジャーズからドジャースへ移ったのがいい例だ。当時、ダルビッシュは6年5600万ドルの契約最終年だった。レンジャーズは交換に3人のマイナーリーガーを獲得。そのうち、ウィリー・カルフーンは19年に台頭し、メジャーの83試合で21本塁打を放った(他2人はメジャーデビュー前)。一方、ダルビッシュを数ヵ月“レンタル”したドジャースは、最終的な目標には到達できなかった。リーグを制したものの、ワールドシリーズではサインを盗まれていたこともあって、アストロズに敗れた。

 田中将大(ヤンキース)にとって、2020年は7年1億1550万ドルの契約最終年だ。ヤンキースがペナントレースから脱落するとは考えにくいが、万が一そうなれば、ダルビッシュと同じことが起こり得る。実際、ヤンキースは16年の夏に、アロルディス・チャップマンをカブスへ放出している。
 
 ドジャースからFAになったダルビッシュは、6年1億2600万ドルでカブスと契約した。レンジャーズからすると、戻ってこなかったので“レンタル”ではないが、チャップマンの場合、カブスだけでなくヤンキースにとっても、言ってみれば"借り手"と"貸し手"のように“レンタル”の格好となった。カブスでワールドシリーズ優勝を飾ったチャップマンは、オフに5年8600万ドルでヤンキースへ戻った。なお、シーズン途中に移籍したFAは、クオリファイング・オファーを申し出られる対象から外れる。

 あるいは、田中はFAにならないかもしれない。ここからシーズンが終わるまでにヤンキースと延長契約を交わせば、2021年以降もピンストライプのユニフォームを着て投げる。ただ、ヤンキースには田中の他にも、契約を延長されてもおかしくないFAイヤーの選手が2人いる。DJ・ラメイヒューとジェームズ・パクストンだ。3人とも、1988年生まれの31歳。ヤンキースが誰と契約を延長するにしても、田中とパクストンはともに故障歴のあるベテランの先発投手だけに、この2人のどちらとも、ということはないだろう。
 
 ちなみに、シーズン途中の移籍と契約延長の両方も、可能性としてはゼロではない。トレードで移った球団とシーズンが終わるまでに契約を延長すれば、そうなる。

文●宇根夏樹

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【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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