アストロズのサイン盗みスキャンダルによって、アストロズ、レッドソックス、メッツの3球団は新たな監督を探すことになった。そのうち、新監督が最も早く決まったのはメッツだ。カルロス・ベルトランの後任として、クオリティコントロール・コーチ(と外野コーチ)だったルイス・ロハスが監督に就任した。昨年10月にミッキー・キャラウェイ監督(現エンジェルス投手コーチ)が解任された際も、ロハスはベルトランとともに候補に挙がっていた。
ロハスのメッツ在籍は14年目。2011~18年はマイナーで監督を務めていた。現在のメッツには、19年に新人王を受賞したピート・アロンゾをはじめ、ロハス監督の下でプレーしたことのある選手も少なくない。また、昨年の夏にブルージェイズからメッツへ移ってきたマーカス・ストローマンは、監督就任の知らせに「ルイス・ロハス! ラブ、ラブ、ラブ(後略)」とツイートした。
ロハス自身は元メジャーリーガーではなく、04年にエクスポズ(現ナショナルズ)のマイナーで37試合に出場したきりだが、ベースボール・ファミリーで育った。父と2人の叔父、フェリペ、マティ、ヘススに兄のモイゼスも、メジャーで15年以上プレーした。その他に、元マイナーリーガーの兄が2人。元メジャーリーガーのいとこたちもいる。
フェリペはドミニカン初の監督として、エクスポズとジャイアンツで采配を振った。その息子であるロハスは、現ヤンキース監督のアーロン・ブーンと現レッズ監督のデビッド・ベルに続き、史上6人目の二世監督となる。前任のベルトランのように、1試合も指揮を執らずに監督の座を追われることはないはずだ。
文●宇根夏樹
【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」!
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。