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プロ野球

西川遥輝が歩む「最強の一番打者」への道。メジャー挑戦を見据えた今季は、長打率向上も視野に

出野哲也

2020.02.03

メジャー挑戦の意思を明らかにする西川にとって、今季はいつもに増して勝負の年になるだろう。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

メジャー挑戦の意思を明らかにする西川にとって、今季はいつもに増して勝負の年になるだろう。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 昨年11月27日、推定年俸2億円で契約更改交渉を終えた西川遥輝外野手は、記者会見の席でポスティングシステムを利用してメジャーリーグへ挑戦する意思を明らかにした。かつての同僚、大谷翔平(エンジェルス)の活躍が刺激になったことを理由に挙げている。球団は2020年の西川自身の成績とチーム状況を考えて、申し入れを認めるかどうか決めるとしているが、よほど酷い成績か、重大な故障でも負わない限り、日本ハムのユニフォームを着た西川の姿は見納めになる確率が高い。

 だが、一般の野球ファンの反応は意外なものだった。あくまでインターネット上の書き込みとはいえ「秋山(翔吾、西武→レッズ)の足元にも及ばない」「西川レベルなんて向こうにはたくさんいる」など、否定的な意見が少なくなかったのだ。

 確かに、一見しただけでは西川の成績はそれほど凄くはないように思える。打率3割をクリアしたのは、.314でリーグ2位だった16年の一度だけ。本塁打は18年の10本が最多で、「フライボール革命のメジャーでは長打の打てない選手はいらないだろう」とも指摘されている。
 
 しかし、リードオフマンの一番の仕事が出塁することであるならば、今の日本球界で西川以上の適任はいない。18年はリーグ最多の96四球、昨年もチームメイトの近藤健介に次いで2位の93四球。ボール球のスウィング率は4年連続パ・リーグ最少、ここ2年は両リーグを通じても最少である。結果として、16年以降の出塁率は.405(4位)→.378(3位)→.391(6位)→.393(5位)と安定して上位に入り続けている。バッティングの基本中の基本である、ボール/ストライクを見極める技術が天下一品なのだ。

 それに、よく知られている通り球界随一の俊足でもある。14、17、18年の3度盗塁王となっただけでなく、通算245盗塁で失敗は38回。成功率86.6%は200盗塁以上の選手では史上1位だ。19年は19個まで盗塁数が減ってしまったが、2番に入る機会の多かった大田泰示が、早いカウントで打ってしまったのが原因とも言われている。事実、盗塁を除くベースランニングの優秀さを示すUBRという指標では、両リーグでトップの数値をマークしている。近年のメジャーでは盗塁の価値は下がっているとはいえ、ベースランニングの巧拙は依然として重要なファクターなので、この点もアピールポイントになる。

 選球眼に優れ、足も速いとなると、あとは一定の長打力があればメジャーでも通用するはず。先述した通り、西川はホームランの多い打者ではない。しかし松井秀喜や大谷のような真の長距離砲を除けば、日本人打者にホームランを打ちまくることは求められていない。また、西川は決してパワーがないわけではない。ツボに入れば軽々とフェンスの向こう側へ運ぶ力があるのは、パ・リーグの試合を見る機会の多い人なら承知しているだろう。メジャーでのイチローがそうだったように、一番打者として出塁を重視しているから長打狙いのスウィングをしていないだけだ。

 そうは言っても、実際に数字上の長打が少な過ぎると、やはりアメリカ側の評価も低くなる。西川自身もその点は理解していて、今季は長打率の向上を視野に入れ、球界屈指の強打者となった吉田正尚(オリックス)とのトレーニングに励んでいる。出塁率を犠牲にしない程度に長打が増えれば、いよいよ最強の一番打者になり、当然それはチームのためにもなる。4年ぶりのリーグ優勝に貢献できれば、文句なしにポスティングも許可されるだろう。西川自身も後ろ髪を引かれることなくアメリカへ行けるし、そうなればもう疑いの声が上がることもあるまい。

文●出野哲也

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【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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