プロ野球は2020年シーズンのキャンプがスタートした。
「こんなことを言ったら笑われるかもしれないけど、まだ東京オリンピック諦めてないから」
昨年の春にそんな話をしていたのがオリックスの後藤駿太だった。
2018年は春季キャンプ中にインフルエンザを発症したことから、出遅れてしまい「最悪の年」になってしまっただけに、2019年は大きな目標を持って臨んだ。結果、開幕一軍を勝ち取り2018年の33試合を大きく超える91試合に出場。打率は.224だったが出塁率は.314だった。スタメンでの起用は少なかったが、途中出場しても守備でチームに貢献。西村徳文監督も「駿太には何度も救われている」と話すほどだった。
後藤の守備力の高さは入団時から定評があった。だが本人は「決して身体能力が高いというわけじゃない」と語る。工夫をして守備を鍛えてきた自負があるからだ。
守備練習の際、後藤はあえて球を見送る場面がある。
「(練習中に)あれをやると怒られたりもするんですけど、僕はボールの飛び方も見てる。いちばんは球場によって距離が全然違うので、それは球場に入って最初に見て、守備練習のときに(コーチが)打った球の伸びとかを見て確認してます。あと、これは選手批判じゃないんですけど、隣の選手も変わると、守備範囲が変わって来るんですよ。外野は球を取って当たり前と思われがちなんですが、何であそこで球を取るのか?何であの位置にいるのか?その辺も見て感じてもらえると嬉しいですね。考えて守ってる外野もいるんだって」
一方、スローイングに関しても「まだまだやれる自信がある」と後藤はいう。
中学まではピッチャーで、高校から外野手に転向した。現在でも145キロ前後の速球を投げられると話すが「どうしたら、肩と肘に負担をかけずに速い球を投げられるか」をずっと考えてきたという。今、後藤がイメージしているのが、プロテニスプレイヤーの錦織圭だ。
2016年のフェニックスリーグに参加中のころ、錦織のプレーをテレビで見ていて「これだ!」とイメージが出来た。
「他のスポーツにヒントはないかなって思っていたときに、錦織選手の試合を見て、肩甲骨の使い方が独特だなって気づいたんですよ。テニスはラケットを持っているのに、低い姿勢から200キロ近くの球を打ち続けている。野球は遠心力はないですけど、叩きつけるように打つのも野球と通じる部分があるなって。そこから着目するようになったんです。バレーボールも肩甲骨の使い方が凄い。これまで肩甲骨を意識して投げようという考えがなかったので、考え方が変わりましたね。僕はバックホームだったら球持ち(投げてからホームに届くまでの威力)を意識しています」
錦織のプレーにインスパイアされた後藤は、昨年の秋季キャンプでは、よりパフォーマンスを高めるためにバッティングとともに守備にも時間を割いた。
「もうひとつ高いところにいきたい。細かいことなんですけど、走攻守全力でやるだけじゃなく、何のためにやっているのかという理由を知りたくて、裏づけをしていきました。昨秋、初めて野手だけのキャンプがあったんですが(投手は舞洲)、練習環境としてこの試みは本当に良かったです」
宗佑磨や西浦颯大といった後輩が台頭してきているが「ふざけんなって気持ちはあります」とポジションを譲るつもりはない。今年は節目の10年目を迎えるとあって「キャリアハイを目指したい」と目標を掲げている。
2014年、チームが最後まで優勝争いをした際、ファンに向かって「優勝します!」と言った日のことを本人も忘れていない。
「その責任も果たさなきゃいけないですね。昨年から精神的にもすごく安定しているので、今年はやりますよ」
10年目の後藤駿太は期待ではなく、やってもらわなければ困る存在である。
2014年の言葉を実現してもらいたい。
取材・文 ●どら増田
【オリックスキャンプPHOTO】1軍と2軍が一気に見られる!オリックス宮崎キャンプの模様を紹介
「こんなことを言ったら笑われるかもしれないけど、まだ東京オリンピック諦めてないから」
昨年の春にそんな話をしていたのがオリックスの後藤駿太だった。
2018年は春季キャンプ中にインフルエンザを発症したことから、出遅れてしまい「最悪の年」になってしまっただけに、2019年は大きな目標を持って臨んだ。結果、開幕一軍を勝ち取り2018年の33試合を大きく超える91試合に出場。打率は.224だったが出塁率は.314だった。スタメンでの起用は少なかったが、途中出場しても守備でチームに貢献。西村徳文監督も「駿太には何度も救われている」と話すほどだった。
後藤の守備力の高さは入団時から定評があった。だが本人は「決して身体能力が高いというわけじゃない」と語る。工夫をして守備を鍛えてきた自負があるからだ。
守備練習の際、後藤はあえて球を見送る場面がある。
「(練習中に)あれをやると怒られたりもするんですけど、僕はボールの飛び方も見てる。いちばんは球場によって距離が全然違うので、それは球場に入って最初に見て、守備練習のときに(コーチが)打った球の伸びとかを見て確認してます。あと、これは選手批判じゃないんですけど、隣の選手も変わると、守備範囲が変わって来るんですよ。外野は球を取って当たり前と思われがちなんですが、何であそこで球を取るのか?何であの位置にいるのか?その辺も見て感じてもらえると嬉しいですね。考えて守ってる外野もいるんだって」
一方、スローイングに関しても「まだまだやれる自信がある」と後藤はいう。
中学まではピッチャーで、高校から外野手に転向した。現在でも145キロ前後の速球を投げられると話すが「どうしたら、肩と肘に負担をかけずに速い球を投げられるか」をずっと考えてきたという。今、後藤がイメージしているのが、プロテニスプレイヤーの錦織圭だ。
2016年のフェニックスリーグに参加中のころ、錦織のプレーをテレビで見ていて「これだ!」とイメージが出来た。
「他のスポーツにヒントはないかなって思っていたときに、錦織選手の試合を見て、肩甲骨の使い方が独特だなって気づいたんですよ。テニスはラケットを持っているのに、低い姿勢から200キロ近くの球を打ち続けている。野球は遠心力はないですけど、叩きつけるように打つのも野球と通じる部分があるなって。そこから着目するようになったんです。バレーボールも肩甲骨の使い方が凄い。これまで肩甲骨を意識して投げようという考えがなかったので、考え方が変わりましたね。僕はバックホームだったら球持ち(投げてからホームに届くまでの威力)を意識しています」
錦織のプレーにインスパイアされた後藤は、昨年の秋季キャンプでは、よりパフォーマンスを高めるためにバッティングとともに守備にも時間を割いた。
「もうひとつ高いところにいきたい。細かいことなんですけど、走攻守全力でやるだけじゃなく、何のためにやっているのかという理由を知りたくて、裏づけをしていきました。昨秋、初めて野手だけのキャンプがあったんですが(投手は舞洲)、練習環境としてこの試みは本当に良かったです」
宗佑磨や西浦颯大といった後輩が台頭してきているが「ふざけんなって気持ちはあります」とポジションを譲るつもりはない。今年は節目の10年目を迎えるとあって「キャリアハイを目指したい」と目標を掲げている。
2014年、チームが最後まで優勝争いをした際、ファンに向かって「優勝します!」と言った日のことを本人も忘れていない。
「その責任も果たさなきゃいけないですね。昨年から精神的にもすごく安定しているので、今年はやりますよ」
10年目の後藤駿太は期待ではなく、やってもらわなければ困る存在である。
2014年の言葉を実現してもらいたい。
取材・文 ●どら増田
【オリックスキャンプPHOTO】1軍と2軍が一気に見られる!オリックス宮崎キャンプの模様を紹介