プロ野球

「64」から「18」へ――エースナンバーを託された二木康太が感じる若手投手陣の相乗効果

岩国誠

2020.02.03

新たに18番を背負う二木は、ストレートのみで58球を投げ込んだ。写真:岩国誠

 今季から背番号18となったロッテの二木康太投手が3日、今キャンプ2度目のブルペン入りした。

「まずはしっかり良い真っすぐを投げられるように」

 新たにエースナンバーを背負った男は、投球の軸となる直球に磨きをかけるべく、捕手・田村龍弘の構えるミットめがけて、ストレートのみで58球を投げ込んだ。

 真横で見ていた井口資仁監督は「腕もしっかり振れていた」と評価していたが、「初日と今日のブルペンの感触だと、自主トレの時の方が良かったかなと思います。悪くはなかったですけど、すごく良いわけではなかった。まだまだ上げていけると思っています」と、二木自身の求めるものは高い。

「(練習のメニュー表で)64番を探しちゃいますよね。キャンプ初日に64番がなかったので、『俺、忘れられてる』って思って……よくよく考えたら『あ、18だ』と。バックとかも『18は自分のじゃない』って思っちゃいますしね。他の人からは背番号が見えますが、自分の番号は見えないので」

 本人はそう言うものの、今回の背番号変更は球団の期待の表れだ。これまで涌井秀章投手(楽天に移籍)が背負っていたエースナンバーは、やはり重い。自他ともに認められるよう結果で示していくつもりだ。
 
 この日は二木のほか、種市篤暉、岩下大輝、中村稔弥など、開幕ローテーションを争う若い先発候補たちが、二木のすぐ横で力強いボールを投げ込んでいた。ミットを叩く小気味良い音や、ボールの縫い目が風を切る音などが、あちらこちらから自然と耳に入ってくる。

「(同世代たちの投球は)めちゃくちゃ気にします。やっぱり周りも凄く良い球を投げているので。『あまり気にしすぎないように』とは思うんですが、気にしないのは無理かなって。年下が多いので、みんなの仕上がりも気になりますし、良い球を投げていたらさらに気になります。気にしない人はいないんじゃないですかね」

 互いに意識しあいながら切磋琢磨して高め合い、そして結果へとつなげていく。若い投手陣が多い中、その相乗効果が好成績をもたらしそうな予感が、このキャンプからは漂っている。

「迫力あるブルペンだった。この時期はいっぱい先発候補がいるね。この中から開幕ローテーションに入ってくるのが楽しみ」と語った井口監督。8、9日にキャンプ地・石垣で行なわれる練習試合(楽天モンキーズ戦)では、リリーフ陣も含め、若手投手陣が登板することを示唆。早くもチーム内競争が始まる。

 新たにエースナンバーを背負った男は今季、その期待に応えて幕張の新エースに上り詰めることができるか。これからの調整ぶりに注目したい。

取材・文●岩国誠(フリーライター)

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【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年生まれ。プロ野球のニュース番組制作に携わるTV映像ディレクター。一時は球団公式SNS用動画制作やパ・リーグTVでの制作・配信を担当。その縁からフリーライターとして、webメディアでのプロ野球記事の執筆を始める。また、舞台俳優としての経験を生かして、野球イベントなどの運営や進行役など、幅広い活動を行っている。