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サイン盗み騒動の余波はオールスターにも…ア・リーグを率いる監督は誰が適任?

宇根夏樹

2020.02.04

昨季のア・リーグ優勝監督として、オールスターで指揮をとるはずだったヒンチは解雇。別の監督が采配を振るうことになる。 (C)Getty Images

昨季のア・リーグ優勝監督として、オールスターで指揮をとるはずだったヒンチは解雇。別の監督が采配を振るうことになる。 (C)Getty Images

 オールスター・ゲームの監督は、前年にリーグ優勝したチームの監督が務める。これは、1934年の第2回オールスター・ゲームからだ。現在も続いている。

 けれども、昨年のア・リーグを制したアストロズのAJ・ヒンチ監督は、サイン盗みスキャンダルにより、ジェフ・ルーノーGMともども、1月に1シーズンの停職処分となり、アストロズから解雇された。今年のオールスター・ゲームは、ヒンチの後任としてアストロズの監督に就任したダスティ・ベイカーが、ア・リーグの指揮を執ることになるだろう。ナ・リーグは通例どおり、ナショナルズのデーブ・マルティネス監督だ。

 前年のリーグ優勝監督とは別の監督が采配を振ったオールスター・ゲームは、過去にもあった。第1回を除くと、今回は12度目となる。直前の11度目は、今から3年前の17年だ。前年にア・リーグ優勝監督となったインディアンスのテリー・フランコーナは、この年も引き続き監督を務めていたが、オールスター・ゲームの数日前に不整脈を起こした。

 そのため、フランコーナの下でベンチ・コーチを務めていたブラッド・ミルズが、ア・リーグの監督を代行した。幸いにも、フランコーナは大事に至らず、今もインディアンスの監督だ。
 
 62年前まで遡ると、今年と対を成すようなことも起きている。47年のナ・リーグは、ドジャースが制した(ジャッキー・ロビンソンがメジャーデビューした年だ)。ただ、チームを率いていたバート・ショットンは、監督代行だった。レオ・ドローチャー監督がギャンブルなどを理由に1シーズンの停職処分を科され、代わってショットンが指揮を執った。翌年はドローチャーが監督に復帰し、オールスター・ゲームでも采配を振った。ちなみに、ドローチャーはこのオールスター・ゲームの直後に、ドジャースからジャイアンツへ移った。

 今年のオールスター・ゲームは、7月14日にドジャー・スタジアムで行われる。ドジャースは17年のワールドシリーズで、アストロズに敗れた。この時、アストロズはサインを盗んでいた。サイン盗みスキャンダルが起きてから最初のオールスター・ゲームで、舞台はその“被害者”であるドジャースの本拠地だ。ベイカー監督はサイン盗みに無関係とはいえ、ロサンゼルスのファンからすると、アストロズの監督が指揮を執るのは面白くないだろう。

 この点を考慮すると、ア・リーグを率いるのは別の監督、例えばヤンキースのアーロン・ブーン監督がいいかもしれない。アストロズ以外のア・リーグ14チーム中、昨年のリーグ優勝に最も近かったのは、リーグ優勝決定シリーズで――この時にサイン盗みはなかったようだが――アストロズに敗れたヤンキースだ。

文●宇根夏樹

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【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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