専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

開幕ローテを狙う中日3年目の山本拓実。新球“スラッター”でもくろむ新たなピッチデザイン

小中翔太

2020.02.05

山本は2回を投げて2安打1奪三振無失点と好投した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

山本は2回を投げて2安打1奪三振無失点と好投した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 先発ローテーションの一角を狙う高卒3年目の山本拓実が、白組の2番手として登板した。

 沖繩・北谷での中日キャンプ。
 第1クールにしては早い紅白戦が始まり、山本は2回を投げて2安打1奪三振無失点。ボールが先行する場面も見られたが、初実戦の感触は上々だった。

「カットとまっすぐの精度をまず確認したかったです。まだ打者慣れしてないので2イニング目は力んで制球があんまり良くなかったんですけど、四球ゼロで球速もそれなりに出ていたので、まあまあ良かったです」

 昨秋から新球の習得に取り組んでいる。
 軌道はスライダーで変化はカットボール。両方の性質を持つことから“スラッター”と呼ばれるメジャーでも注目を浴びている球種だ。

「バッターがまっすぐだと思って振ったら違ったというような変化球を目指しています。実際、打席に立ったバッターから『際どいところにボールじゃなくてストライクゾーンにどんどん投げていっても良いって思うから』っていろんな人に言われたんで、怖がらずにストライクゾーンに投げていくのが新しいテーマになりました」
 
 山本は、もともと、カーブとスライダー、チェンジアップを投げていた。そこから、さらに横の変化を加えたことになるが、これには理由がある。

「自分の変化球は全部曲がりが大きいので、よりまっすぐに近い変化球が1つあれば曲がりの大きい変化球をもっといかせるんじゃないかなと思って取り組んでいます。球速帯もすごく良かったですし、リリースの感覚も投げるたびに良くなっているので、良い感触だったかなと思っています」

 新球を試すため、この日投じた33球の中でカーブ、スライダー、チェンジアップはほとんど使っていない。まっすぐとスラッターしか投げなかった打者もいたほどだった。

「今日ほとんど変化球は投げてないので、第2クールでは実戦以外のブルペンでもバッターを想定したピッチングをしてゲームで力まないようにしたいです」

 貪欲な姿勢は新球だけにとどまらない。
 シーズンオフには決して安くない費用を払い、ドライブライン・ベースボールのトレーニングに参加した。足を二段モーション気味に上げる新フォームに変更、手応えを感じている。

「勢いをつけるためのフォームにしようとに取り組んでるんですけど、腕を振る感覚がつかめてきて、それが球威につながってるかなと思います」

 この日の最速は147キロをマークし、常時140キロ台と安定していた。
 中日・与田剛監督は、計10人が登板した今キャンプ初の紅白戦で気になった投手に山本の名前を挙げ「仕上がりが早く感じた。ブルペンで見てもフォームがまとまっているように見える」と高評している。

 昇竜復活、投手王国再建へ。
 新たな武器を携えた3年目右腕に期待がかかる。

取材・文●小中翔太

【中日ドラゴンズ|沖縄キャンプPHOTO】今季初実践となる紅白戦を実施!ドラフト4位ルーキーの郡司や3年目の山本がアピール!

【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号