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プロ野球

“3年連続首位打者”アロンゾ・パウエルがコーチで復帰――中日”強竜打線”の復活なるか

2019.11.23

パドレス時代は打撃コーチ補佐として手腕を発揮したパウエル(中央)。“強竜打線”を復活できるか。(C)Getty Images

パドレス時代は打撃コーチ補佐として手腕を発揮したパウエル(中央)。“強竜打線”を復活できるか。(C)Getty Images

 かつて“強竜打線”の4番を担った男が、23年ぶりに古巣へ戻ってくる。

 11月18日、元サンフランシスコ・ジャイアンツ打撃コーチのアロンゾ・パウエルが、中日ドラゴンズの一・二軍巡回打撃コーチに就任することが発表された。

 現役時代のパウエルは史上有数の巧打者だった。本塁打はそれほど多くなかったが、二塁打を量産。シュアなバッティングで高打率を維持し、1994~96年には前田智徳(広島)や落合博満(巨人)らを抑えて、3年連続で首位打者を獲得した。これはセ・リーグでは他に、59~61年の長嶋茂雄と、68~70年の王貞治(ともに巨人)の“ON”2人しか成し遂げていない大記録だ。

 また、中距離打者であったことや、四球をあまり選ばない代わりに三振もあまりしないという点で、同時期にパ・リーグ首位打者のタイトルを独占していたイチロー(当時オリックス)と似たタイプでもあった。

 98年限りで日本球界を去ったパウエルは、マイナーや独立リーグなどで2001年まで現役を続けた後、指導者の道を進んだ。いくつかのマイナーチームで監督やコーチを歴任した後、10年にはイチローのいたマリナーズの暫定打撃コーチに就任。その後も12~15年にパドレス、16~17年にはアストロズでそれぞれ打撃コーチ補佐を務め、18年からはジャイアンツの打撃コーチをしていた。
 
 こうして見ると、パウエルがコーチを務めたチームは、パドレスやジャイアンツ、マリナーズなど投手有利の球場を本拠にするチームが多い。パドレスのアシスタント打撃コーチに就任した12年は、前年から30本以上も本塁打が増加。アストロズも、パウエルの就任から2年でメジャー最高の得点力を持つチームに変わった。もちろん、すべてがパウエルの功績ではないだろうが、コーチとしての手腕は高いと言っていいだろう。いずれのチームでも、かつて自身の代名詞だった二塁打を増加させているのも面白い。

 ただ、今回のコーチ就任で求められるのは、二塁打ではなく本塁打の増加だ。中日の加藤宏幸球団代表も「中日はちょっと本塁打が少なかったので、それをできたらやってほしい」と語っている。今季のドラゴンズは二塁打数がリーグ最多だったのに対し、本塁打数は最下位。広いナゴヤドームを本拠にしているとはいえ、もう少しパワーが欲しいのは周知の事実だ。

 そういえば、現役時代のパウエルは狭いナゴヤ球場からナゴヤドームに移った97年に成績が低下して解雇された。今回、指導者として広いナゴヤドームをものともしない新
“強竜打線”を作り上げることができるだろうか。

文●筒居一孝(スラッガー編集部)

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