花巻東は、今年の入学生から岩手に限らず全国的に選手を募集するようになった。これまでも県外選手がいないわけではなかったが、監督の伝手などによる特例のみだった。それが、大谷翔平(ドジャース)と菊池雄星(エンジェルス)、メジャーのオールスター選手を2人も輩出するという背景もあって、グローバルな考え方から全国募集に踏み切った。
確かにかつては、「高校野球の文化は地域に根ざす」という風潮があった。だが、それはあくまで公立高校限定の話だ。特に強豪私学の場合、評価の指標が単に「甲子園出場」だけではない時代に入っている。
横浜に行けば、エリートが集まる中でプロの世界へ行っても通用するような技術や戦術を学ぶことができる。仙台育英や健大高崎のようなチームは、オートマチックに組織化され、着実に成長を遂げることができる。
慶応や早稲田実業は文武両道をトップレベルで実践できるし、今年のMLBドラフトでアスレティックスから19巡目指名を受けた武元一輝(ハワイ大)を輩出した智弁和歌山や、大谷・菊池の母校である花巻東は、世界に通用する人材という強いブランディングがある。
はっきり言って、高校野球の各年度の「強豪校リスト」を作成すれば、それはすなわち中学生の有望選手、逸材がどこに入学したかを示しているに過ぎない。そうした逸材たちをいかに育てたかをお披露目する。それが「甲子園」という場だ。
全国に多くの強豪が乱立し、それぞれの高校にあったブランディング、つまりチーム独自の価値観に沿って覇権が争われる。注目カードがこれだけ増えるのは当然の帰結なのだ。
その中でも特に注目したいのは、智弁和歌山と花巻東の対決だ。
智弁和歌山からは前述の通り、22年夏の全国制覇のメンバーだった武元が世界へ飛び立とうとしている。一方の花巻東は言わずもがな。両者とも目指すところは世界進出という共通点がある。世界を股にかける両校の対決には、大いに期待したいものだ。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
確かにかつては、「高校野球の文化は地域に根ざす」という風潮があった。だが、それはあくまで公立高校限定の話だ。特に強豪私学の場合、評価の指標が単に「甲子園出場」だけではない時代に入っている。
横浜に行けば、エリートが集まる中でプロの世界へ行っても通用するような技術や戦術を学ぶことができる。仙台育英や健大高崎のようなチームは、オートマチックに組織化され、着実に成長を遂げることができる。
慶応や早稲田実業は文武両道をトップレベルで実践できるし、今年のMLBドラフトでアスレティックスから19巡目指名を受けた武元一輝(ハワイ大)を輩出した智弁和歌山や、大谷・菊池の母校である花巻東は、世界に通用する人材という強いブランディングがある。
はっきり言って、高校野球の各年度の「強豪校リスト」を作成すれば、それはすなわち中学生の有望選手、逸材がどこに入学したかを示しているに過ぎない。そうした逸材たちをいかに育てたかをお披露目する。それが「甲子園」という場だ。
全国に多くの強豪が乱立し、それぞれの高校にあったブランディング、つまりチーム独自の価値観に沿って覇権が争われる。注目カードがこれだけ増えるのは当然の帰結なのだ。
その中でも特に注目したいのは、智弁和歌山と花巻東の対決だ。
智弁和歌山からは前述の通り、22年夏の全国制覇のメンバーだった武元が世界へ飛び立とうとしている。一方の花巻東は言わずもがな。両者とも目指すところは世界進出という共通点がある。世界を股にかける両校の対決には、大いに期待したいものだ。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。