●40人枠外の選手が出場できる“抜け道”も!
冒頭でも言及したように、「9月1日時点で40人枠に入っていること」がプレーオフ出場の基本条件。だが、実はここには“抜け道”がある。プレーオフのロースター規定には、以下の但し書きがある。
「上の出場資格の基準を満たさない選手でも、8月31日時点で当該球団に所属していたならば、負傷した選手(※「戦線復帰に必要な最小限の期間」を満たしている必要がある)に代わってロースターに追加することを、コミッショナー事務局に申請できる」
具体例を挙げて説明しよう。昨年のワールドシリーズで胴上げ投手になったウォーカー・ビューラーは、今年8月29日にレッドソックスからリリースされたが、2日後の31日にフィリーズとマイナー契約を結んだ。9月1日時点で40人リースターにはいなかったので、本来ならプレーオフに出場できないはずだが、「故障者の代役」としてロースター入りすることは可能なのだ。
ここで問題となるのが、「誰の代役か」ということだ。現時点でフィリーズは4人がILに入っていて、このうちビューラーと同じ先発投手はザック・ウィーラーのみ。だが、「ウィーラーの代役はビューラー」ということにはできない。なぜならウィーラーは8月31日に60日ILに登録されたため、地区シリーズ開幕日の10月4日時点では、「戦線復帰に必要な最小限の期間」である60日間がまだ経過していない。ビューラーを出場させるためには、8月26日に15日ILに入り、すでに必要な日数が経過しているリリーフ投手のジョーダン・ロマーノの代役ということにしなければならない。
●“抜け穴”が秘密兵器
この“抜け穴”を利用してロースター入りした選手が目覚ましい活躍を見せた例がある。
やや古い話になるが、2002年のエンジェルスは60日ILでシーズンを全休したスティーブ・グリーンという選手の代役として、一人の新人投手をロースターに加えた。9月にメジャーデビューし、わずか5登板しかしていなかった20歳のフランシスコ・ロドリゲスだ。
当初は無名の彼に誰も注目していなかったが、ヤンキースとの地区シリーズ第2戦から3連投といきなりフル回転。その後も快投を続け、結局この年のプレーオフは11登板、18.2回を無失点、28奪三振という快投でエンジェルス初の世界一の立役者となり、“K-ROD”のニックネームで一大センセーションを巻き起こした。
今季で言えば、ガーディアンズのチェイス・デラウターがこの方法を取っている。強肩強打のトップ・プロスペクト外野手であるデラウターは、9月1日時点では40人ロースターに入っていなかったが、メジャー未経験のままワイルドカード・シリーズのメンバーに抜擢。第2戦に7番・センターで先発出場し「プレーオフでメジャーデビュー」という史上6人目の記録を樹立した。
また、レッドソックスの先発投手コネリー・アーリーもこの条件に当てはまっていた。9月1日時点で40人枠には入っていなかったアーリーだが、約1週間後にメジャー初昇格すると、4先発で防御率2.33、奪三振率13.50と好投。ヤンキースとのワイルドカード・シリーズ第3戦では先発マウンドに立ったが、味方のミスも絡んで4回途中6安打4失点で無念の降板。残念ながら、ロドリゲスのような“秘密兵器”にはなれなかった。
26人のロースターに誰を選ぶかが、チーム全体の命運をも左右し得る。プレーオフでは、ぜひ各球団の“編成の妙“にも注目してほしい。
構成●SLUGGER編集部
冒頭でも言及したように、「9月1日時点で40人枠に入っていること」がプレーオフ出場の基本条件。だが、実はここには“抜け道”がある。プレーオフのロースター規定には、以下の但し書きがある。
「上の出場資格の基準を満たさない選手でも、8月31日時点で当該球団に所属していたならば、負傷した選手(※「戦線復帰に必要な最小限の期間」を満たしている必要がある)に代わってロースターに追加することを、コミッショナー事務局に申請できる」
具体例を挙げて説明しよう。昨年のワールドシリーズで胴上げ投手になったウォーカー・ビューラーは、今年8月29日にレッドソックスからリリースされたが、2日後の31日にフィリーズとマイナー契約を結んだ。9月1日時点で40人リースターにはいなかったので、本来ならプレーオフに出場できないはずだが、「故障者の代役」としてロースター入りすることは可能なのだ。
ここで問題となるのが、「誰の代役か」ということだ。現時点でフィリーズは4人がILに入っていて、このうちビューラーと同じ先発投手はザック・ウィーラーのみ。だが、「ウィーラーの代役はビューラー」ということにはできない。なぜならウィーラーは8月31日に60日ILに登録されたため、地区シリーズ開幕日の10月4日時点では、「戦線復帰に必要な最小限の期間」である60日間がまだ経過していない。ビューラーを出場させるためには、8月26日に15日ILに入り、すでに必要な日数が経過しているリリーフ投手のジョーダン・ロマーノの代役ということにしなければならない。
●“抜け穴”が秘密兵器
この“抜け穴”を利用してロースター入りした選手が目覚ましい活躍を見せた例がある。
やや古い話になるが、2002年のエンジェルスは60日ILでシーズンを全休したスティーブ・グリーンという選手の代役として、一人の新人投手をロースターに加えた。9月にメジャーデビューし、わずか5登板しかしていなかった20歳のフランシスコ・ロドリゲスだ。
当初は無名の彼に誰も注目していなかったが、ヤンキースとの地区シリーズ第2戦から3連投といきなりフル回転。その後も快投を続け、結局この年のプレーオフは11登板、18.2回を無失点、28奪三振という快投でエンジェルス初の世界一の立役者となり、“K-ROD”のニックネームで一大センセーションを巻き起こした。
今季で言えば、ガーディアンズのチェイス・デラウターがこの方法を取っている。強肩強打のトップ・プロスペクト外野手であるデラウターは、9月1日時点では40人ロースターに入っていなかったが、メジャー未経験のままワイルドカード・シリーズのメンバーに抜擢。第2戦に7番・センターで先発出場し「プレーオフでメジャーデビュー」という史上6人目の記録を樹立した。
また、レッドソックスの先発投手コネリー・アーリーもこの条件に当てはまっていた。9月1日時点で40人枠には入っていなかったアーリーだが、約1週間後にメジャー初昇格すると、4先発で防御率2.33、奪三振率13.50と好投。ヤンキースとのワイルドカード・シリーズ第3戦では先発マウンドに立ったが、味方のミスも絡んで4回途中6安打4失点で無念の降板。残念ながら、ロドリゲスのような“秘密兵器”にはなれなかった。
26人のロースターに誰を選ぶかが、チーム全体の命運をも左右し得る。プレーオフでは、ぜひ各球団の“編成の妙“にも注目してほしい。
構成●SLUGGER編集部
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