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MLB

カーブと向き合い5年、菊池雄星がアリゾナで見せた3回5奪三振、‟怪投”の理由

氏原英明

2020.03.07

 しかし、スライダーは低めに投げると見逃される傾向があったため、ストレートに絞りやすい傾向があった、その中で取り組んだのがカーブという球種だった。

 2016、17年頃から徐々に精度を上げていき、菊池の中での球種の一つとして数えられるようになってきた。「球種は覚えてから3年と言いますから、少しずつものにできたと思う」と西武時代の2018年に語っている。

 また、菊池のカーブにおける一つの欠点として、カウントを取るボールとしては効果的に使えても、その他の場面では使いにくいところがあった。結果的に決め球になったことはあったが、意図したことは少なかった。

 そのため、勘が鋭い打者には狙いがバレていたのだ。

 メジャーに来てからは、多少、カーブを決め球に使うこともあったが、ほとんどが高めのストレートを意識させた上でのことで、カーブの質そのものが高かったわけではない。

 事実、エンゼルスの大谷翔平にはそのカーブを狙い撃たれてスタンドまで放り込まれている。持ち球を有効的に生かしていくためには、カーブの改良は一つの課題ではあったのだ。
 
 今の菊池はフォーム改造が奏効して、ストレートはM A Xで96、7マイル、常時94マイルを出せるようになった。ストレートが上がると当然、変化球も生きるわけだが、カーブの球速が上がったことで、91、2マイルのスライダーとカーブを織り交ぜ、球種の判別を見にくくされる。この日は2球ほどしか投げなかったチェンジアップも90マイルほどある。

 どれもがピッチトンネルを構成できるものになり、投球の奥行きを使えるようになってきているのだ。

「3球種でカウントが取れて、三振が取れるというのは大きな要素なので、それはよかったと思います。1個1個のボールが良くなっているということがこの時期にできているのは大きい。1年間を通して、今持っているボールをさらに向上させていく必要がありますけど、このボールを出していければ、それなりの結果はついてくる自信ができてきました」。

 先頭打者を空振り三振に切って始まったゲームは、ピンチを多少作った場面もあったが、ほぼ完璧という内容だった。改良したカーブを新たな武器として、菊池は新たな一面を見せ始めている。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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