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MLB

打球に答えを求めて……秋山翔吾が明かした苦戦の理由と復活への糸口

氏原英明

2020.03.05

本調子ではない秋山。一体何が起こっているのか。(C)Getty Images

本調子ではない秋山。一体何が起こっているのか。(C)Getty Images

  海を渡っても、“秋山節”は変わらずだった。

「狙ってあの打球だったら、野球はやめた方がいいでしょう」

 現地4日、シカゴ・カブス戦の第2打席のことだった。セーブ王に4度輝くクレイグ・キンブレルの、高めに浮いたカーブを引っ掛けてファーストゴロ。記者から「狙ったのか」と聞かれると、秋山らしくそう答えたのだった。

 今季からシンシナティ・レッズのユニフォームを纏った日本屈指のヒットメーカーだが、まだ彼らしいバッティングを見せられていない。この日は3打席凡退に終わった(三振、ファーストゴロ、左翼フライ)。何より秋山らしくないのは、アウトコースのストレートを見逃してしまっているところだ。

「力んじゃっているんですよね。ボールだと思ったらストライクだと思ったとか、そういうのではなくて、手を出せない」

 シーズン最多安打記録を達成した2015年には、後ろに好打者がいるからとファーストストライクから積極的に打ちに行っていた。追い込まれる前に仕掛けに行く。かと言って、どんなボールでも打ちに行くのではなく、何を打つべきかしっかり選球できる。カウントを作るのが上手いことで知られるあの秋山が、手を出せないのである。
 
「今日の1打席目、2打席目は真っ直ぐを振りにいけなかった。振りに行こうと思って手が出ていなかったんです。振りに行ってボールっぽいなと思って見逃したというより、ボールが来てしまっている感じがある。本能的に振れない」

 1打席目は初球のストレートに手が出ずに追い込まれ、最後は慌てて手を出すかのような空振り三振、2打席目はストレートを見逃した後のキンブレルのカーブに泳がされたものだった。

 彼の中で何が起きているのだろうか。秋山のようなメジャーの“新参者”がこの舞台に挑戦すると、その多くが「動くボールへの対応」と口にする。果たして彼もその壁にぶち当たっているのだろうか。

「単純に、真っ直ぐの見え方が思ったよりも日本人投手に近いなと感じています。動いて変化してぐちゃぐちゃっていう投手の方が少ない印象を受けていて、逆に刺されちゃっているのはあります。

 もちろん、ツーシームを追っかけたり、動く球を意識しているわけでもありません。力まされている感じがあるんです。今日の先発投手だと96、7マイル、キンブレルも95マイルくらいあって、3人目の投手も角度ある92~97マイルくらいある。

 その球に対して、打ち返したいとか、振り負けてはいけないという力みが、この6試合本能的にあるんですよ。『自分は自分』と思いながらも、周りのスウィングを見て、自分もいい当たりを打ちたいとか、欲が出ている」
 
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